2020年6月9日(火)
国立天文台所属の研究機構
軍事研究 応募認めず
国立天文台や核融合科学研究所を含む5研究所・4研究センターなどで構成する大学共同利用機関法人・自然科学研究機構(小森彰夫機構長)が、防衛省の軍事研究に所属組織の応募を認めないと決定したことが分かりました。
対象は、防衛省・防衛装備庁が防衛装備品の能力向上に役立ちそうな基礎研究を大学・研究機関などに委託する「安全保障技術研究推進制度」。同機構によると4月23日、所属する全研究組織の長や理事が参加する研究基盤戦略会議で審議し、応募しない方針を決定しました。
同制度は5年前に創設。軍事目的の科学研究については、日本学術会議が声明で「学問の自由及び学術の健全な発展と緊張関係にある」と問題視。国立天文台でも4年前の教授会議で「応募しない」と決議していました。しかし昨年、常田佐久台長ら執行部が決議を覆して、応募を可能とする新方針の検討を開始。職員組合や関係者から疑問や反対の声があがっていました。
軍学共同反対連絡会の池内了(さとる)共同代表(名古屋大学名誉教授)は「日本の基礎科学を進める中心的な役割を果たしている機構が、きちんと対応したことを高く評価する」と話します。一方、筑波大学が昨年、応募・採択された問題をあげ、「予算不足で研究者が追い詰められている状況に危機感をもっている。科学界全体の問題として対応する必要がある」と指摘しています。