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2020年6月7日(日)

新型コロナ 病院の経営を圧迫

宮城

 新型コロナウイルス問題というこれまで経験したことのない事態の中で、外来患者減などが医療機関の経営を圧迫しています。宮城県の医療従事者らは、地域医療の崩壊を起こさないための財政支援を訴えます。(高橋拓丸)

数千万円の減収

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(写真)坂総合病院=宮城県塩釜市

 医師、看護師、事務員ら約800人が働く、宮城県塩釜市にある坂総合病院。5月の外来患者が前年同月比で25%減、入院患者は12%減と、1カ月あたり数千万円の減収となっています。

 同病院の吉田賢吾事務局長は「時間外受診は半減し、新型コロナの感染者受け入れのために空床を維持していたことも影響しています。患者さんは減っても、人件費などの固定費は変わらないので経営は厳しいです」と語ります。

 県内の多くの病院と同様に、現在も入院患者への面会は中止し、家族による衣類の受け渡しなども受け付け経由になるため、担当の人員を新たに配置し人件費増につながっています。

 発熱した患者を受け入れる発熱外来を新設する場合、テントやプレハブの病棟や、医師・看護師らスタッフの完全分離など巨額の予算が必要となります。

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(写真)坂総合病院の吉田賢吾事務局長

 吉田事務局長は「発熱した患者をどう受け入れていくか地域で考えることは大事です。同時に、経営に対するマイナスへの国からの十分な補償も必要です」と訴えます。

 感染者の入院受け入れの体制のない非コロナ医療機関には、財政支援はまったくありません。

 「椅子を減らし待合室に入る人数も制限しています。ゴーグルに消毒液にと、感染防止に費用がかかります」と語るのは、宮城県北部の診療所の所長です。5月の外来患者は約20%減でした。

 「発熱した患者の受け入れリスクはすべての医療機関にあります。県内すべての医療機関に、十分な支援をしてほしい」と求めます。

国は十分な支援を

 宮城県の労働組合や医療関係者でつくる「地域医療を守る共同行動みやぎ連絡会」は4、5月、県内の医療機関に新型コロナウイルスの影響の実態調査を実施しました。

 経営上の影響について、六つの病院から数千万から1億円におよぶ収入減になっていると回答がありました。外来患者の減少や、感染防止のための体制縮小が原因です。

 同連絡会の鹿島進事務局長は、「地域医療はこれまでも多くの困難を抱えていました。そこにさらにコロナ問題が起き、経営の危機にあります。国や地方自治体による思い切った財政的支援がなければ、続けていけなくなる医療機関も出てきます」と話します。


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