2020年6月7日(日)
立証への懸念相次ぐ
山添氏問いかけに参考人答弁
自動車運転処罰法改定案の参考人質疑が2日の参院法務委員会で行われました。同改定案は、危険運転致死傷罪の類型に走行中の車の前方で停止または徐行するなどの行為を追加し要件を拡大するものです。
日本共産党の山添拓議員は、同改定案では犯罪の要件となる通行妨害目的が後続車の存在を具体的に認識していなくても足りると説明されているため、犯罪の適用範囲が広がる懸念を指摘。松原芳博早大教授は「指摘はある意味あっている」としつつ「(通行妨害の)具体性、切迫性を要求することで(他の類型との)同等性は運用上、確保すべきだ」と答えました。
また山添氏は、徐行や停止は、酒酔いや信号無視など単独で危険運転と認定される他の類型とは質的に異なる点をあげ、後続車の速度を利用することで危険を生じさせる行為を犯罪に組み込むことや、立証の困難さなどについての見解を質問。今井猛嘉法政大教授は、犯罪に組み込むこと自体には理解を示しましたが、「立証の問題は残る。もう少し科学的な捜査の仕組みを考える必要がある」と述べるなど、立証への懸念の声が相次ぎました。
ジャーナリストの柳原三佳氏は、交通事故は一瞬で起きるので「映像があるなら映像でいく」として、供述に頼る捜査方法に疑問を示しました。