2020年6月3日(水)
子どもたちの学び、心身のケア、安全を保障するために
学校再開にあたり緊急提言
志位委員長が発表
日本共産党の志位和夫委員長は2日、国会内で記者会見し、「子どもたちの学び、心身のケア、安全を保障するために――学校再開にあたっての日本共産党の緊急提言」を発表しました。志位氏は「子どもへの手厚く柔軟な教育のためにも、新型コロナから子どもと教職員の健康と命を守るためにも、教員10万人増などの教育条件の抜本的整備を求めたい」と強調しました。同日、日本共産党の穀田恵二国対委員長が自民党の森山裕国対委員長に会い、安倍晋三首相に伝達するよう求めました。(提言全文)
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志位氏は、長期の休校により、学習の遅れと格差の拡大が起こり、子どもたちが新型コロナによるかつてない不安とストレスをため込んでいることを「コロナ×こどもアンケート」を示して指摘。このもとで「子ども1人ひとりを大切にする手厚い教育」「子どもの実態から出発する柔軟な教育」の2点が必要だと述べました。
そのうえで、学校の感染症対策は重大な矛盾に直面しており、政府・専門家会議が「身体的距離の確保」として「人との間隔はできるだけ2メートル(最低1メートル)を空けること」をよびかけているが、「40人学級」では2メートルはおろか1メートル空けることも不可能だと指摘。20人程度の授業は途中で終了し、現在の教員数では「40人学級」に戻らざるを得ないもとで、感染に対する不安の声が上がっているとして、「子どもたちが生活する教室を『身体的距離の確保』の例外にしていいのかが問われています」と語りました。
その上で、これらを解決するために、二つの政策の緊急実施を求めると表明しました。
第一は、教員10万人増など教育条件の抜本的整備です。志位氏は、「手厚く柔軟な教育のためにも、感染症対策のためにも、学校の教職員やスタッフを思いきって増やし、20人程度の授業などができるようにする必要があります」と指摘。第2次補正予算案で盛り込んだ教員増は3100人で、全国の小中学校の10校に一人しか配置されないと批判し、小中学校の教員の10万人の増員と、養護教員をはじめ教職員、学習支援員の十数万人の増員が必要だと述べました。「10万人増は、少人数学級に移行する土台になります」と語りました。
第二は、子どもの実態に応じた柔軟な教育のために、学習指導要領を弾力化することです。志位氏は、学校現場の創意工夫と自主性を保障するために、弾力化に踏み込むことが必要だと述べました。
あわせて、「学校9月入学」は、国民各層に多大な負担がかかるとして、「一刻も早く断念し、子どもたちの学び、心身のケア、安全の保障のために全力を集中するよう求めたい」と述べました。
教員10万人増員をどう確保するのかと問われ、志位氏はこの間、教職の定年を迎えた20万人程度のうち、教職についていない10万人を教員免許更新制も凍結するなどで確保するとともに、全国の教員採用試験の受験者13万7753人のうち採用者数が3万7080人だとして、採用されなかった多くの若い方々がいると指摘。「十分な処遇を行い、将来の見通しも立つようにすれば確保は可能です」と述べました。「現在教員は約90万人であり、10万人増は1割増にすぎない」と述べるとともに、「必要な予算は約1兆円です。子どもたちのためにそれくらいの予算をつけなくてどうするのか」と強調。「いま学校がこういう状況にあるもとで、志のある方に学校で教べんをとってほしいと政府が呼びかけるべきです。本気で呼びかけ、予算措置をとれば実現に道が開けるし、それを行うことが政府の責任です」と語りました。