2020年6月2日(火)
黒川氏定年延長の真相を
大学教授 閣議決定文書めぐり提訴
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上脇博之神戸学院大学教授は1日、黒川弘務東京高検検事長(当時)の定年延長について、閣議決定前のものとして同氏に開示された各文書は閣議決定前に作成されたものではない可能性が高く、閣議決定後の文書は不存在として非開示にされたのも違法性があるとして、いずれも取り消しを求めて大阪地裁に提訴しました。黒川氏の定年延長の真相を明らかにするための提訴だとしています。
安倍内閣は1月31日の閣議で黒川氏の勤務について「国家公務員法の規定に基づき、6カ月勤務延長する」と決定しました。しかし、検察官に国家公務員法の勤務延長条文を適用して延長した実例はなく、解釈変更が議論されたこともありませんでした。訴状では、黒川氏を検事総長に選任するために黒川氏が定年を迎える直前に、従来の人事院の解釈を無視し、官邸が「主導」した結果であるとしか考えられないとしています。安倍首相が閣議決定で「解釈変更」したと国会答弁したことから、首相答弁とつじつまを合わせようと、法務省、人事院、内閣法制局が文書を作成し、それを閣議決定前に作成したものだと虚偽の説明をした恐れが極めて高いとしています。開示された文書には作成年月日、作成者などが記載されていませんでした。
上脇氏と弁護団は提訴にあたり、コメントを発表し「安倍政権発足以来、森友事件、加計学園事件、桜を見る会事件等々、政権の疑惑として報じられる案件において、当然なされるべき公文書の作成、管理および情報公開がきわめてずさんだ」として、黒川氏の定年延長を閣議決定するに至る不透明極まる判断過程を明らかにすることを求めています。