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2020年5月31日(日)

こども食堂 行政は支援を

コロナ禍 ひとり親家庭支える

市長「宅配も助成」と表明

仙台

 新型コロナウイルス危機で、ひとり親家庭が困窮しています。仙台市でも、食料支援に携わる「こども食堂」が通常の食堂開催を休止し、配食に切り替えて支援を継続。現場から「緊急時こそ行政の力が必要」との切実な声があがっています。(中川亮)


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(写真)宮城野子ども食堂のスタッフから配食の弁当を受け取る親子=28日、仙台市

 3月から弁当配布を始めた宮城野子ども食堂。配布日の夕、弁当を手に子連れの母親が顔をほころばせます。

月収が半分に

 「学校が好きじゃない子も、こども食堂では元気な声を響かせている」と話す高橋悦子代表。食堂の再開時期が見通せず、コロナ禍の子どもたちの生活を心配しています。

 3歳の男児を連れて来ていた派遣労働者の女性(32)は、接客・販売の仕事の日数・時間が減り、月収は半分に。離婚した夫が職を失い、養育費の送金も途絶えました。

 政府は児童扶養手当を受けるひとり親世帯への給付金支給を発表。しかし女性は「そのお金も食費などですぐに消えてしまう。子どもの将来のお金をどうやってためればいいのか」と不安が募ります。

 3人の子を育てる保険会社正社員の女性(44)もコロナの影響で給料が下がり、一方で食費や光熱費がかさんでいます。高校2年の息子は「学費は自分で稼ぐ」と気遣い、飲食店などで採用を断られながらも、ガソリンスタンドのアルバイトを見つけました。女性は「食料支援はありがたい。自分はここにつながることができたからよかったけれど」と言葉を詰まらせます。

非正規が5割

 せんだいこども食堂の門間尚子共同代表は「スタッフはフルタイムで働き、人件費も交通費もない完全ボランティアです。民間の力では限界」と行政主体の支援を求めます。

 同食堂は4月から食料宅配を始め、仙台市など約50世帯に届けました。「支援を広げたくても、つながりのある人以外の困っている人がどこにいるか把握できていない」と門間さん。市内でも多くの母子家庭が低収入・不安定雇用に置かれています。

 市によると、母子家庭のうち2017年の就労収入が200万円未満の割合は49%で、パート・アルバイト、嘱託・契約社員、派遣社員の雇用形態は47・2%を占めます。

つながりの力

 こども食堂への市の助成金は「居場所づくり活動を行うこと」が要件でしたが、郡和子市長は28日の会見で「食事の宅配を行う場合」も助成すると表明。県も支援を検討しています。

 門間さんは、行政や地域間の連携が大事だと強調します。「緊急時こそ行政に動いてほしい。誰も取りこぼさない『つながり』『顔の見える関係』をつくることは、この先の私たちの社会にとって大きな力になる」


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