2020年5月29日(金)
公的責任を一層後退
倉林氏 年金制度改定法案に反対
参院厚労委
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公的年金の受給開始時期の選択肢を75歳まで広げることなどを盛り込んだ年金制度改定法案が、28日の参院厚生労働委員会で日本共産党以外の各会派の賛成多数で可決しました。
日本共産党の倉林明子議員は反対討論で、公的年金の水準を自動削減する「マクロ経済スライド」を維持したままの選択肢拡大について、「『高齢者は死ぬまで働けということか』と怨嗟(えんさ)の声が上がっている。新型コロナウイルス感染拡大で働く場を失っている現実をあまりに見ていない」と批判しました。
コロナ禍で株価が大きな影響を受けるなかでの確定拠出年金の対象拡大も問題視し、「公的年金の所得代替率50%を確保できるとの見通しを示した財政検証の前提は大きく崩壊している」と指摘。日本の所得代替率は国際的な指標によれば3割台と極めて低い水準だと述べ、「低い代替率を自己責任で補う仕組みである確定拠出年金の対象拡大は、公的責任を一層後退させる」と強調しました。
パート労働者への厚生年金の適用拡大については、「必要な措置だが、加入者や事業者への減免措置の拡充なしに進めようとしていることは問題だ」と指摘。「コロナの経済への影響は長期化が避けられず、高齢者の働き方も変わらざるを得ない。いま求められているのは、マクロ経済スライドをやめ、減らない年金制度にすることだ。基礎年金の底上げを直ちに行うべきだ」と主張しました。