2020年5月29日(金)
2次補正 大きな穴 スピード 予備費
三つの問題ただす論戦を
志位委員長が表明
日本共産党の志位和夫委員長は28日、国会内で記者会見し、政府が閣議決定した第2次補正予算案の三つの問題点を指摘するとともに、新たな局面での新型コロナウイルス問題への日本共産党の対応の基本姿勢について表明しました。
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2次補正予算案の第1の問題点は内容についてです。志位氏は「世論と論戦におされて、医療支援、家賃支援、雇用調整助成金の上限額の引き上げなど一連の拡充策が盛り込まれたことは前進であり、国民の声が政治を動かした結果だ」と指摘しました。
同時に「大きな穴がある」として、「たとえば、再開される学校への支援では、教員の加配が打ち出されていますが、全国でわずかに3100人。全国に小中学校が3万校あり、10校のうち9校は加配なしになります」と指摘。新型コロナに伴う休校で3カ月間の空白があり、感染対策も求められるもとで、「子どもたちの学びの権利を保障し、心身のケアを手厚くやっていくためには教員の抜本的な増員が必要ですが、あまりに少ない」と語りました。
また、学生に対する支援が盛り込まれたものの、対象があまりに狭いとして、「多くの学生のみなさんが要求しているように、一律授業料の半額に踏み込む必要があります」と表明しました。
第2はスピードの問題です。志位氏は「今の大変大きな問題は、支援が届くスピードがあまりにも遅いことです」と批判し、雇用調整助成金(雇調金)、特別給付金、持続化給付金について、「何もかも遅れに遅れている。本来、緊急事態宣言の期間中に給付が終わっているのが当たり前です。ところが宣言が解除されてもまだ多くで出ていない」と述べました。
雇調金では、相談件数38万件超に対し、申請は5万1千件、支給決定は2万7千件だとして、「相談件数が伸びているのに、支給はその14分の1です。コロナによる失業・倒産が激増するもとで、こんなスピードでは救えない」と強調。雇調金の上限が、日本共産党など野党の要求で月33万円というイギリス並みに引き上げる前進面があった一方で、「事前審査から事後審査に切り替えて、申請をごく簡単にし、すぐお金を出るようにすべきだと提起してきましたが、こちらは改まらず、あらゆる点で遅れている。これでは倒産と失業を止めることができません」と批判しました。
第3は、予備費に10兆円をあてている問題です。志位氏は、財政支出31・9兆円のうち予備費が10兆円と3分の1を占めていると指摘。「国会が予算案を決めるという財政民主主義の観点からしても、予備費が全体の3分の1というのは大きな問題です。こうしたやり方が横行したら国会での予算審議が意味をなさなくなります」として、大きく三つの問題点にかかわって、国会質問でただしていくと表明しました。
「9月入学」でなく、教員とスタッフ増で教育の質を良くすることこそ
政府・与党が「9月入学」導入を見送る方向について問われた志位氏は、「最初に求めた高校生の皆さんの気持ちはよくわかりますが、制度を変えるとなると大変に大きな負荷を子ども・学校・社会に強いることになります。いま必要なのは、9月入学ではなく、子どもたちが学びの遅れや休校による心身のストレスを抱えているもとで、教師とスタッフを増やし、教育の質を良くしていくことに全エネルギーを注ぐことではないでしょうか」と述べました。
志位氏は、日本教育学会が22日に発表した提言で、二十数万の規模で教員とスタッフを増やす必要があること、そのための予算規模を1兆円強としていることに触れ、「この仕事をすると少人数学級にもつながっていきます。ここに力を注ぐべきです」と語りました。