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2020年5月24日(日)

心近づけ 先生努力

電話連絡・動画作成、模索続く

東京都の小学校

 新型コロナウイルスの感染拡大による長期間にわたる休校は学校と子どもたちに大きな影響を及ぼしています。東京都の小学校教師、大内真人さん(34)=仮名=は、休校中でも子どもたちとつながり、子ども同士のつながりをつくっていこうとさまざまな努力しています。

 大内さんは週1回、担任する子どもたちに電話をかけています。子どもたちがどうしているか気になるからです。「大丈夫です」という言葉の陰に、「友達とあいたい」「コロナが心配」「外に出られない」といった思いを抱えながら必死に耐え、がんばっている子どもの姿を感じています。

 文部科学省からも電話をかけるようにという通知が出ていますが、それ以前から電話していました。「教育は強制されてやるものではない」というのが大内さんの信念です。

 感染防止のため社会的距離をとることが求められ、子どもと教師、子ども同士の身体的なかかわりが困難になりました。「手の握り方ひとつでも、どういう握り方をするかに教育がある」と考えている大内さん。これからどうしたらいいのか、泣きたいほどに悩みました。

保護者から怒り

 休校中でも教育委員会は国が決めた学習指導要領どおりの教育を求め、学校では大量のプリントを子どもたちに配りました。宿題を出して後は家庭任せというやり方に、保護者からは怒りの声も。

 教師たちも子どものために何とかしなくてはという思いはありつつも、どうしていいかわからず、先の見通しもないままで、職場の雰囲気もギスギスしてきました。

 そんな中、大内さんは「子どもは人格の交流のなかで育つ。いま必要なのは子どもたちと少しでもつながる、そして子ども同士をつなげることではないか。身体的距離は近づけなくても、子どもに心を寄せることはできる」と考えました。

同僚と協力して

 「オンライン授業は直接的な教育活動に代わるものではない」と考えている大内さんですが、現状で少しでもできることをと、動画を作って、学校のホームページからのリンクで子どもたちに見てもらうことにしました。

 動画づくりは初めて。詳しい同僚に教えてもらいながら算数の計算の仕方を説明する歌の動画をつくりました。大内さん自ら教具を使いながら楽しそうに歌っています。ほかの教師と協力して読み聞かせの動画もできました。

 「模索の一つです。学習を進めるのが目的でなく、しんどい思いをしている子どもたちに笑ってほしい、楽しんで、ほっとしてもらえればというのが狙いです」

 今後、学校が再開したときに、子どもたちがこれまでため込んでいたつらさを一気に吐き出して“荒れる”のではないか、そういう子どもたちをしっかり受けとめる学校になるべきだと、大内さんはいいます。

 再開後の学校で感染をどう防止するかも大きな課題です。「一刻も早く30~20人学級に踏み出すべきです。学習指導要領で教育内容をしばることもやめるべきです」と語っています。


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