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2020年5月23日(土)

きょうの潮流

 天を仰ぐ、泣き崩れる、そっと仲間の肩を抱く…。球児それぞれの喪失感はいかばかりか。20日、日本高校野球連盟は夏の甲子園の中止を決めました▼春、夏の大会が中止となったのは、戦争の4年間を除けば初めてのこと。選手の安全を第一に考えれば仕方のない判断です。新型コロナウイルスの克服がいかに難しいか、改めて思い知らされます▼高校球児の大きな目標であり夢の舞台。それを失った悲しみを癒やす言葉は容易にはみつかりません。それでも人生の先輩がさまざまエールを送ってくれています▼プロ野球・巨人の坂本勇人内野手は、「長い人生の中で苦しいこと、悲しいことはまだまだある。そのときにこの経験がプラスになる」。日本ハムの栗山英樹監督は、「この夏の勝負が人生の勝負に変わった。大きな苦しみを力に変えて」と。ある強豪校の監督は言葉を絞り出しました。「これまでの努力は無駄ではない。5月20日で努力をやめてしまうのはもったいない。少し時間をかけてもいいから、前に進もう」▼活躍の場を奪われたのは高校野球だけではありません。今夏、中学や高校のすべての部活動の全国大会が中止となり、吹奏楽や合唱なども例外ではありません▼気になるのはこれらの生徒の今後です。心のケアなどの丁寧な対応は必須です。同時に思うのは、せめてささやかでも「発表の場」をつくれないかということ。喪失感を共有する仲間とともに区切りをつける。それが「前に進む」大きな力になると思うからです。


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