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2020年5月19日(火)

ネット各党会見 志位委員長の発言

 日本共産党の志位和夫委員長は18日、インターネット番組「Choose Life Project」に出演し、検察私物化の検察庁法改定案について政府・与党が今国会成立見送りに追い込まれた状況について、野党党首らとともに語りました。志位委員長の発言を紹介します。

写真

(写真)チューズ・ライフ・プロジェクト番組に出演して発言する志位和夫委員長=18日(ユーチューブから)

幹部検察官の役職定年延長の「特例」の撤回、黒川検事長定年延長の閣議決定の撤回を

 志位氏は、検察官の定年年齢の見直しそのものには特別の問題はないとして、次のように述べました。

 志位 昨年秋につくられた法案は、大変シンプルな案で、検察官は65歳に達したときに退官する。幹部検察官は、63歳に達したときに役のない検事に戻るという非常にシンプルなものなんです。

 これは検察に対する内閣の介入や干渉の入る余地のないものですから、私たちはもともと賛成です。

 そこに「特例」を設けて、個々の幹部検察官の役職定年を延長することに内閣が関与することになってしまったら、これは三権分立に反する。そして検察の政治的独立性、中立性を侵す。だからここは反対だと言ってきたわけです。

 ですからこの「特例」部分は削除する、あるいは撤回する。ほかの部分は与野党一致しているわけですから、これは通したらいいという考えです。

 法案は「継続審議」になったということですが、「継続審議」にしたということは、強行を止めたということです。悪ければ先週にも(採決が)強行される危険があった。今週にもあった。この強行をみんなの力で止めたんです。これは非常に大きな一歩です。

 強行を止めたうえで、先ほど言った、一つは「特例」部分は撤回させ、全体で賛成できる部分で前に進める議論をすればいい。

 もう一つは、黒川さんの違法・違憲の定年延長の閣議決定は撤回する。これは、政府が閣議決定を撤回するところまでしっかり議論していく。この二つが大事だというのが私たちの立場です。

新型コロナのもとツイッターでの連帯―この力が採決断念に追い込んだ

 日本維新の会の足立康史幹事長代理が、法案の審議入りに際し、野党は重要広範議案とするべきだと主張しなかったなどとして、採決のときだけ反対するのはおかしいなどと述べたのに対し志位氏は次のように述べました。

 志位 入り口のところで野党が要求したのは、国家公務員法改定との「束ね法案」にするという問題もありましたが、しかしそういう法案をやる以上は、内閣委員会だけではなく法務委員会との連合審査が必要になりますと求めた。それを拒否したのは与党側だった。内閣委での審議に対しても法務大臣の出席を求めたのに、拒否し続け、ようやく先週の金曜日に実現したのも与党側の問題です。

 野党はしっかりした審議を、与えられた条件の中で求め、審議で追い込んで採決断念という事態をつくったのですが、この事態をつくったのはみんなの力だと思います。

 みなさんが、ツイッターで声をあげ、うねりをつくっていただいた。

 コロナで、これだけフィジカルディスタンス(体と体の距離)を求められているもとで、ツイッターのなかで連帯をつくったことが、いまの事態をつくったわけです。本当に感謝したいし、番組をつくっている「Choose Life」のみなさんが、どんどんこういう場面をつくっていただいたことにも、この場を借りて感謝したいと思います。

15日のネット番組での安倍首相発言の二つの問題点

 さらに維新の足立氏が、野党の反対はパフォーマンスだ、維新は少しでも良くするために「付帯決議」を求めているなどと主張したのに対し、志位氏は「『付帯決議』を出すということは賛成ということで、強行採決OKですよというサインを出したということです。強行採決の呼び水を出したにすぎません」と批判したうえで、今後のたたかいについて言及しました。

 志位 先ほど「継続審議」の意味について津田さんが「延長戦」だと言われた。その通りだと思います。

 大きな成果だが、しかし決着はついてない。決着はこれからつけないといけない。いろんな問題を解決しないといけない。

 その際、「特例」の撤廃、そして閣議決定の撤回、この二つを求めていくわけですが、この間、安倍首相のたいへんに重要な発言があると思っております。

 それは15日にネット番組で桜井よしこさんから「黒川氏の定年延長は法務省が提案したのか」と問われて、(首相は)「全くその通りだ。検察庁も含め、法務省がこういう考え方で行きたいという人事案をもってこられ、われわれが承認をするということだ」と、こう言っています。

 黒川さんの定年延長の人事案は「法務省がもってきた」と、責任を法務省になすりつけることを今になって言い出している。この発言をしたのは初めてで、国会でもこんな答弁はしていません。15日のネット番組で初めてこれを言った。これはたいへんに大きな問題だと思います。

 私は、こんなことはありえないと思います。法務省――お役所がこれまでの法案の解釈をまったく変えてしまうような、戦後1回もやったことないような幹部人事の定年延長という案を持ってくるわけがない。信じられません。

 しかし、万が一そうだとしたら、安倍首相はきちんと予算委員会でも、国会でも出て、一体どういう経過だったのか説明をする必要があります。

 そして、どんな理由にせよ、違憲・違法な閣議決定をした責任があるわけですから、その撤回を求めていきます。

 もう一つ。今日、中谷元防衛相の議論の中でたいへんに興味深く聞いたのは、なぜ黒川さんの定年延長をやったのか、理由が分からないと、中谷さんも言われていたんですが、私は非常に明瞭だと思っています。

 これも15日のネット番組で、安倍さんが黒川さんと官邸に近い関係にあるのかという見方について、「全く事実はない」と言われた。ここにわが党が入手した政府の内部文書もってまいりました。ここには、「調査報告書をいつ出すかは、刑事処分がいつになるかに依存している。官邸も早くということで法務省に何度も巻きを入れている」と書かれている。これは森友問題の時の文書です。ここで「調査報告書」というのは財務省の報告書、「刑事処分」というのは佐川局長の不起訴処分のことです。これがいつになるかに依存しているから、「官邸も早くということで法務省に何度も巻きを入れている」といっている。

 つまり法務省を通じて検察に介入することをやっていた。

 このときの法務省の事務次官が黒川さんだった。つまり「巻き」を入れられた本人なんです。官邸からすれば巻きを入れやすい人物だと間違いなく見ていた。ですから、そういう人物が、違憲・違法のやり方で定年延長されて、今も職にとどまり続けているのは本当に大きな問題です。この点でも事実関係を究明したい。

 15日のネット番組での安倍さんの二つの発言は非常に重大だと思っておりまして、こういう問題をきちんと一つ一つ国会で究明していく。

 そういうなかで、先ほど言った二つの撤廃――「特例」の撤廃と閣議決定の撤廃をきちんとかちとっていく。そして一つ一つ、駒を進めていくことが大事だと思います。そういう野党としての仕事をしっかりやっていきたいと思っています。

 津田氏は志位氏の発言を受け「大きな爆弾が出てきた」と述べつつ、法案の見送りで種苗法改定案が前倒しになってきたとして、法案への態度を尋ねると、志位氏は「断固反対です」と応えました。

官邸から「巻き」を入れやすい人物が黒川氏ということに

 維新の足立氏が、黒川氏の定年延長自体を認める発言をしたのに対し、志位氏は「黒川さんの任期延長を結構なことだというが、自民党の元防衛相の方も、検察OBの皆さんもみんなあれはとんでもないことだと言っている」とし、「それを、一人、逆の方向に行って、内閣に法律の解釈権があるから良いという。これは、まったく法律を理解していない。検察庁法には任期延長の規定は全く規定がないのです」と批判。そのうえで、示した内部文書の意義について強調しました。

 志位 先ほどの文書ですが、実は、2018年6月にわが党の辰巳孝太郎参院議員が国会で出して追及した文書です。この時は、官邸が法務省を通じて検察に巻きを入れ、検察に介入したことは大問題じゃないかという、そこまでの追及でした。

 黒川さんの問題がこの時は問題になっていなかったから、黒川さんの介在ということは、この時の国会では追及にならなかった。

 ただ、今回、この問題が出てきてみると、その時、巻きを入れられた当人が黒川さんということになる。そうすると官邸からすれば、巻きを入れやすい人物が長くやってもらった方が良いということになるわけで、十分な動機があったということが、2年前に出した文書で改めて裏付けられたという格好です。こういう問題もきちんと事実関係ただしていかなければならないと思っている。

コロナのなかでもSNSやネットを通じて連帯を広げよう

 志位 最後に一言。

 私は、このプロジェクトに2回参加させていただいて、そしてこの間、「#検察庁法改正案に抗議します」というツイッターのうねりが起き、今国会の成立断念というところまで追い込んだ。

 私自身も、先週の火曜日にこの番組に出た時には、これが止められるかどうか、なかなか難しいんじゃないかという思いも半分くらいもちながらやっていました。

 しかし、その後もずっと広がっていって、検察のOBや特捜のOBも含めて、弁護士会も含めて、みんなが声上げて、みんなの声で動いたわけです。

 今コロナで、なかなか連帯しあうというのは難しい面があります。人と人との接触は避けなければならないということがありますが、しかし、そういう中でもいろいろなSNSやネットを通じて連帯をつくって日本の政治を良くしていく方向にみんなで力を合わせようということを最後に言いたい。

 津田氏は、「志位委員長の最後の言葉は印象的だった。“止められるか半信半疑だった”と正直に明かしてくれた。国民の声を反映する議会制民主主義の役割を再認識した」と述べました。


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