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2020年5月16日(土)

主張

コロナと学生支援

国の責任で学費を半額免除に

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、学生は深刻な経済的苦境に立たされています。大学などの学費減額・返還を求める声は大きなうねりとなって広がり、200を超す大学で学生の自主的なネット署名が取り組まれています。

 多くの学生の声にこたえ、日本共産党と、立憲民主党、国民民主党などの共同会派は、国の責任で授業料を半額免除することやアルバイトが減収した学生への給付などを盛り込んだ「学生支援法案」を11日に国会に提出しました。

すべての学生を対象に

 「2割の学生が退学を検討」という学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」の調査は危機的事態を浮き彫りにしました。民青同盟の調査では、「バイト収入がなくなり、学費や家賃が払えない」などの訴えが絶えません。元来の高学費に加え、コロナで家計やアルバイトが減収となり、学生生活は困難に陥っています。

 緊急事態宣言に伴って大学にも休校が「要請」され、多くの大学が入構を禁止し、対面授業を自粛せざるをえなくなりました。急な「オンライン授業」の導入も、大学や教員、学生にさまざまな負担を強いています。実験や実習授業は実施が難しくなっています。

 学校施設も利用自粛となったため、「図書館が使えず、課題や卒論がすすまない」「研究活動ができないので大学院進学を諦めた」「安価な学食が利用できず、食事もままならない」など、学生の勉学や生活に支障がでています。

 こうした状況のもと、“経済的に苦しい上、休校や入構禁止となっている時に、学費を満額払うことは納得できない”と学費減額や返還を求める声が上がるのは当然です。すでに学生への緊急給付金や学費の減額、一部返還を決めた大学も生まれています。

 しかし、そもそも休校や構内立ち入り禁止の措置は、コロナの感染拡大防止を目的とした国からの「要請」に基づくものであり、それに伴う学生や大学への補償には、国が責任をもつべきです。

 大学ごとのネット署名に取り組む学生有志の中から、「国による一律学費半額」を求める署名運動が起こっています。「学費の支払いを懸念しているのは、困窮学生だけではない」「各大学の裁量に任せた施策では限界がある」として、全学生対象の支援と、それへの国の予算措置を強く要求しています。

 ところが、萩生田光一文部科学相は「国がお金をくれるんだったら、学生の授業料を減免しますよってのは、順番が違う」(10日、フジテレビ系報道番組)と、大学に責任を転嫁しました。学生に負担を押し付け、国の責任を放棄する姿勢は大問題です。国の学生支援予算はすずめの涙です。家計が急変した世帯への授業料減免は、「1600人に1人」分にしかなりません。政府も「不十分」と認め、「困窮学生に10万~20万円の給付」という追加策を行うといいますが、足りません。学費減額の願いに正面からこたえるべきです。

力合わせ政治動かそう

 「アルバイト学生の支援」「雇用調整助成金の拡充」など政府が制度改善へ動きだしたのは、国民世論と野党の国会論戦の力です。

 学生が学ぶことを諦めることがないよう、力を合わせ「学生支援法」を成立させ、国の責任による学費半額免除を実現しましょう。


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