2020年5月12日(火)
9月入学 拙速な導入 問題深刻化
日本教育学会が声明
教育学研究者でつくる日本教育学会は11日、政府が検討を進めている学校の「9月入学・始業」について、「拙速な導入はかえって問題を深刻化する」として「慎重な社会的論議を求める」との声明を発表しました。
声明は9月入学問題が浮上した背景として、新型コロナウイルス感染拡大で休校が長期化したことによる勉強の遅れや受験への不安、貴重な学校生活の時間を削減しないでほしいという子どもたちの声や再開後の詰め込み・スピード教育を心配する保護者・教師の心配があると指摘。こうした声に「真摯(しんし)に耳を傾けることが求められる」と述べるとともに、9月入学は「状況をさらに混乱させ、悪化させかねない」「学力格差の是正への有効性などには数多くの疑問がある」としています。
学校でも社会でもさまざまな支援が求められているときに、限られた財源と人員を割いて9月入学を実施することが必要かと述べ、政府に対し「拙速な導入を決定しない」こと、子ども・保護者・教職員の不安に応える実効性ある対策を「大至急検討し講じていく」ことを求めています。
同日、記者会見した広田照幸会長(日本大学教授)は「財政的にも制度的にも大きなきしみが生じる」とし、問題点を整理した提言を月内にまとめる考えを示しました。