2020年5月5日(火)
「進学諦めることに」「就活できる?」…
受験生・学生 切実
コロナ問題 緊急アンケート
「家族の誰かが夢や目標を諦めないといけない」「オープンキャンパスが実施されるかわからず不安」―。広島文化学園大学専任講師の伊藤駿さんらが、新型コロナウイルス流行による大学進学や在学への影響に関する、オンライン緊急アンケートを実施(4月22~30日)。先月末、速報版が発表されました。
受験生は216人が回答。受験に関する不安内容では「オープンキャンパスが実施されるかわからない」が7割超で最多でした。休校や外出自粛の影響から感じることを項目別に聞いたところ、「家族以外の人と会ったり会話することが減った」で85%。「運動不足」(73・8%)、「スマホやインターネットをよく使うようになった」(67・3%)、「将来のことを不安に感じるようになった」(60・7%)のほか、「アルバイトができないことと、それに伴う経済的不安を感じている」が14・5%ありました。
4月以降の家族の状況で当てはまるものは、「新型コロナウイルスによって受験をあきらめざるを得ないという話をしている」が2・4%、「家族の誰かが夢や目標をあきらめないといけなくなっている」が4・7%でした。
大学生・院生は1363人が回答。生活上の問題で「不安である」との答えを項目別にみると、「収束していくのか」(61・4%)、「家族が感染するのではないか」(59・7%)、「これから先、今まで通りの生活ができるのか」(56・9%)、「予定通り就職活動ができるか」(51・8%)の順でした。
授業料支払いでは、「新型コロナで支払える見込みがなくなった」が6・9%。現在の状況で「孤独感を覚えている」については「当てはまる」と「どちらかというと当てはまる」で5割、「生活費が払えない、払えなくなりそう」は1割でした。
国の財政的対応は不可欠
伊藤駿さんの話 受験を控えた高校3年生は入試改革に翻弄(ほんろう)された子どもたちです。今回のコロナでは、彼らにとって生命線である高校にも予備校にも行けなくなり、事態は深刻です。モチベーション(意欲)も上がらず、不安を募らせています。経済的な理由から、受験そのものをあきらめざるを得ない高校生への早急な対応も必要です。
大学生の授業料負担にばかり目が行きがちですが、生活費の保障もなければ続けることはできません。サークルなどができないことも、学生にとっては大きな痛手でしょう。来年度も影響は続きます。国による財政的な対応は不可欠です。