2020年5月3日(日)
クローズアップ
香川 琴平町 観光客 ぱったり
こんぴら歌舞伎も中止「稼ぎ時奪われた」
国は補助充実を
新型コロナウイルスの影響は、こんぴらさんで知られる香川県琴平町を直撃しています。4月20日からは金刀比羅宮(ことひらぐう)が参詣できなくなり(5月6日までの予定)、大型連休も、駅前の人通りも車の流れもなく、がらんとしています。江戸時代の芝居小屋で上演される四国こんぴら歌舞伎大芝居(4月)も中止となりました。当地を訪ね思いを聞きました。(香川県・浜崎好人)
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2019年には263万人が訪れた観光の町。山の中腹にある金刀比羅宮に続く参道に「お土産店」が並ぶのも特徴の一つです。現在は、ほぼすべての店が閉まり、人影はほとんどありません。
江戸時代から続く土産物店を営む吉田親司さん(61)は「税金の猶予がされるというが、来年度は今年度分も支払わないといけない。それに見合う収益が来年あるのか不安だ」といいます。2月から客足が鈍り、3月は「団体はすべてキャンセル」、4月の国の緊急事態宣言後「パタッと止まった」といいます。「いつまで続くかわからないので、国の補助も1回では済まない状況になると思う。続けて支援をしてもらわないと」と強調します。
高齢化
自らも土産物店を営む琴平町観光協会の西村好平会長は、3月からインバウンド(訪日外国人旅行)客の減少とともに団体客が動かなくなったといいます。「金刀比羅宮も閉まりました。戦時中でもなかったことです。この時期は秋とともに稼ぎ時、そこを奪われました。インバウンドは1年、国内は秋ぐらいに回復してくれたらと思うが…」と話し、「町の独自補助も限界はあります。国は特に収束後の観光に補助をしてほしい」と話します。
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また、高齢化の問題も懸念されます。吉田さんは「お店を営む平均年齢は高く、個人でやっているところが多い。仮にこのままの状況が続くと『この機に廃業』という可能性もある」と危惧します。
影響は駅前の商店街にも及んでいます。商店街でまんじゅう屋を営む80代の女性は「通常3月から5月は忙しいのですが、今年はこんぴら歌舞伎も中止になり全然少ないです。常連さんもいますが、製造は縮小しています」と話します。
独自に
日本共産党県議団などは4月17日、県に対する要望の中で、観光産業への補償や助成、「こんぴら歌舞伎」中止に伴う町の負担軽減のための助成を求めています。また琴平町は24日に一定の売り上げが下がった事業者に10万円の支給、大型連休中の宿泊キャンセル対応の協力金として協同組合に150万円の補助を決めました。
日本共産党の今田勝幸町議は「こんぴら参りは、785段の石段と『お土産店』で成り立っています。この風情、こんぴら参りの姿を守りたい。引き続き町民の声を聞いて町に届けたい」と話します。