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2020年4月25日(土)

コロナ禍 奮闘続く児童福祉・養護の現場

子どもの権利守る改善早く

 新型コロナウイルスの感染が広がる中、児童福祉・養護の現場では、子どもや保護者を支援する奮闘が続いています。現場の職員や専門家からは、緊急に改善が必要な課題が寄せられており、子どもの権利擁護の観点からも対応が急がれます。


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(写真)さいたま市の児童相談所長から実情を聞く(左から)とばめぐみ市議、梅村早江子子どもの権利委員会責任者、とりうみ敏行市議=21日

 家庭内で虐待などの被害にあっている子どもを保護するための一時保護所では、すでに定員を超えているところに、さらなる負担がかかっています。児童養護施設も、学校休校で一日中子どもが過ごす場になっており、子どもや職員の安全・安心を守るための体制維持に苦闘しています。

 乳児院では、3月初めから保護者との面会を禁止せざるを得ず、家族の再統合に支障が出かねない状況も生まれています。

即時PCR検査を受けられる保障

 虐待事例の緊急保護の件数は増えており、通告・即時保護が必要な事例も少なくありません。日常の子どもの状況を調査することは難しく、感染が疑われる状況などを確認することは困難です。

 子どもにとって、児童相談所の一時保護所は安全確保のためのシェルターです。その重要性を考えれば、所内感染は避けなければなりません。発熱など症状のある子どもの一時保護の際は、即時PCR検査を受けられる体制が必要です。

マスク、消毒用エタノールなどの安定供給、受け入れ体制の拡充

 保護者が感染で入院した場合、親族などによる保護が難しい子どもの保護について、厚生労働省は一時保護所や児童養護施設などを想定しています。しかし現場からは「濃厚接触、感染の疑いがある子どもを受け入れるには、相当の対応が必要。シールドマスクやガウンなどは、まだ手元にない」など、不安の声があがっています。

 一時保護所や児童養護施設での感染を防ぐには、マスクや消毒用エタノールなどの安定供給は不可欠です。感染が疑われ、経過観察が必要な子どもの一時保護では、施設内の子どもや職員らとの安全な距離を確保しつつ、安心して過ごせる場所や、対応する職員の体制も必要です。同時に、医療機関に一時保護委託できる体制づくりも求められています。

 児童相談所ではマスクが足りず、訪問支援の際に使うマスクの調達は自己責任というところもあります。現場にこれ以上負担を強いることのないよう、感染予防資材の十分な供給が不可欠です。

緊急経済対策として実施する1人あたり10万円給付の対応

 10万円給付は、子どもの現実に寄り添った方法が求められます。

 施設入所児童や里親委託児童には児童手当制度と同様、子どものために使われるよう施設設置者などに給付されるべきです。施設で暮らす高校生もアルバイトができなくなっており配慮が必要です。

 一時保護所で保護されている児童、在宅で支援を受ける児童も、本人や支援機関による申請も可能にすべきです。支援につながっていない児童もDV被害者同様、自己申告できるようにすべきです。

特別児童扶養手当などの更新時期の延長

 特別児童扶養手当、都道府県の障害児福祉手当、療育手帳などの更新については、確定申告や自動車免許更新期間の延長などと同様に、更新条件の緩和が欠かせません。療育手帳に関しては、割引などを実施する事業者への更新条件緩和の周知も必要です。

要保護児童対策地域協議会(要対協)の役割を発揮するための工夫

 学校が主な支援機関となっていた支援対象児童の現況確認が難しくなる中、厚労省は自治体に対し、要対協による対策を求める事務連絡を出しています。

 支援から切り離される子どもや保護者を出さないため、専門性の高い構成員の連携で運営する要対協の役割は大きいものがあります。オンライン会議やテーマ別会議など、3密を避けながら機動的な対応が求められます。

 (日本共産党子どもの権利委員会)


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