2020年4月22日(水)
10万円給付「収入認定せず」
市民の声 政治動かす
生活保護世帯に朗報
新型コロナ不安 ぎりぎりの毎日
「一律給付金10万円がすべて収入認定されてしまうのではないか」「生活保護世帯を支援から外すべきでない」―。厚生労働省が21日に出した事務連絡は、そうした市民の切実な声に押されたものです。
出費がかさむ
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「喘息(ぜんそく)があるから新型コロナウイルスに感染しないか不安。ぎりぎりの生活の中でマスクや液体せっけんなど普段より出費がかさんでいます」
そう話す男性(52)。高知市で生活保護を利用して暮らします。使い捨てマスクを、中に入れたハンカチを毎日交換しながら5、6回は使い回しています。
脳性まひで障害があり、普段は作業所に通います。感染防止のためとして作業所は20日から、午前中だけの開所に。「月2万円ほどの給料は変わらない。でも、最近は自宅にいる時間が長くなり、水光熱費が多くかかるようになりました。10万円が収入認定されないのはありがたい」
生活保護問題対策全国会議(代表幹事・尾藤廣喜弁護士)は20日、厚生労働相に「一律に収入認定しない処理基準を設定する」ことなどを文書で要望していました。
全国会議事務局次長の田川英信さんは「新型コロナウイルス感染症の対策に関して厚労省はこの間、機敏に動いています」と評価。そのうえで、「収入認定しないという取り扱いは、本来のあるべき方向だと思います」と語ります。
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生活保護世帯の多くは、感染リスクの高い高齢世帯(55%)や障害・傷病世帯(25%)などです。新型コロナの感染拡大でマスクや消毒液などこれまでと違う需要があります。保護世帯には大きな負担となっており、保護費だけでやりくりするのが難しくなっています。
訴えが相次ぐ
18、19両日に実施された「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守るなんでも相談会」では、田川さんも電話相談に応じました。収入認定されるのか不安だという保護利用者からの切実な訴えが相次ぎました。
生活保護をめぐり安倍政権は、2013年8月から3回にわたり保護基準を引き下げたのに続き、18年10月からも引き下げを実施。田川さんは「壊れた家電製品を買い替える余裕もないのが現状です。コロナ対策としての一時扶助や加算などの創設が必要なのではないかと思っていたところです。保護世帯への10万円は大歓迎です」と語っています。