2020年4月20日(月)
混乱続く障害児支援
休校延長に 不安の日々
3密避けられず 閉所すれば行き場失う
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、政府の緊急事態宣言を受けた臨時休校で子どもたちの支援をめぐって、安倍首相が要請した小中高・特別支援学校の一律休校以降からの混乱が続いています。障害のある子どもたちが放課後などに過ごす「放課後等デイサービス」の現場では、不安と困惑の声が上がっています。東京都調布市のある事業所を13日、訪ねました。(原千拓)
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発達障害や身体障害などがある小学校1年生から高校3年生までの35人の子どもたちが日替わりで1日に10人程度、この事業所を利用しています。
3月からの一律休校以降、午前9時半から午後5時半までの開所に。利用を控える家庭は少なく、毎日8人から9人の子どもたちが利用し、7人から8人のスタッフで何とか対応していました。
緊急事態宣言後の臨時休校の通知に職員は「学校が始まるまで頑張ろうとやってきましたが、1カ月はスタッフにとってきつく、このままでは大変」と困惑します。
スタッフたちと話し、開所時間を午後3時半までと短縮することにしました。
新型コロナウイルス感染も懸念します。職員は「小さい建物の中に子どもと職員合わせて十数人が過ごし、密閉、密集、密接の“3密”回避の基準に満たない。換気や消毒などを日に何度かしていますが、職員や子どもが罹患(りかん)したとなれば閉所しなければいけません。行き場をなくす子どもが出るし、職員の給料の補償も考えなくてはならず、毎日危ない橋を渡っているような感じです」と訴えます。
東京都の通知には感染拡大に伴う事業所の休業などへの補償については何も触れていません。
「閉めた方がいいのではという声もスタッフからあがります。自主的な休業にも補償があり、支援の縮小でも職員や子どもたちに休める人には休んでもらい、家庭で過ごすことが困難な子どもを1人、2人でも受け入れることができる運営サポートの仕組みが必要だ」と職員は訴えます。
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運営維持に補償必要
障害のある子どもの放課後保障全国連絡会事務局長 田中祐子さん
3月までは、放課後等デイサービスに来る子どもは減っていないという声が比較的多かったのですが、緊急事態宣言後からは「自宅で過ごす」ということで、減ってきました。
事業所の利用を控えている子どもたちが心配です。生活のリズムが壊れて昼夜逆転していたり、きちんとした食事がとれず便秘したりする子どもたちが増えてきています。
利用を自粛している保護者からは「子どもが『毎日つまらない』と言っており、かろうじて過ごしている毎日。いつ限界がくるか不安」という声も寄せられています。保護者へのケアも大事な仕事です。
私たちの事業所は、普段よりも職員を多く確保しました。体調の異変があればいつでも休めるようにしなければならないと考えたからです。また外出自粛の状況のなかで、子どもたちもストレスがたまってくるため、なるべく負担をかけないようにより手厚い配慮が必要なのです。
利用児が減ると事業所は確実に減収になります。利用した子どもの人数で報酬が後払いされるしくみだからです。収入が減ることがわかっていても、活動の質を落とさない努力をしているのですが、公的な補填(ほてん)はまったくありません。根本的な報酬制度の問題が浮き彫りになりました。
宣言後も国や自治体は放課後等デイサービスの開所を要請しますが、減収分の補償さえありません。運営を維持するためには事業所への直接的な補償が必要です。