2020年4月18日(土)
コロナ 飛沫数百メートル移動も 研究グループ
室内の換気呼び掛け
新型コロナウイルスは、感染者から排出された飛沫(ひまつ)が空気中で非常に小さくなり、数メートルから数百メートルも移動する可能性があると、オーストラリア・クイーンズランド工科大学が16日発表しました。同大学と中国科学院の研究グループが、国際的な環境学専門誌『エンバイロンメンタル・インターナショナル』に報告したもので、自然の空気による室内の換気などの予防策を講じるよう強調しています。
報告では、中国での新型コロナウイルス感染の初期のパターンの分析で、接触感染以外で感染した場合があったことを示していると指摘。さらに、新型コロナウイルスと多くの類似点をもつ2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)でも、接触感染以外の感染があったと述べています。
09年の世界保健機関(WHO)の総説で、ウイルスがエアロゾル(空気中の微粒子)などで室内全体に広がり、短期間にクラスターを生じる可能性があるとしていることを紹介。研究グループのリディア・モラウスカ教授は、飛沫は排出された直後に蒸発し始め、小さくなったものは数メートルから数百メートルも移動できるとしたうえで「新型コロナウイルスが空気中に拡散しているという推定にもとづいて行動すべきだ」といいます。
研究グループは、室内の自然換気を増やすこと、空気の再循環を避けること、同じ環境を共有する人の数を最小限に抑えること、特別養護老人ホームや病院、店舗、職場、学校などで適切な換気を行うことを呼びかけています。