2020年4月18日(土)
主張
コロナ対策予算案
全面的な組み替えに踏み切れ
安倍晋三政権が新型コロナウイルス感染拡大への「緊急経済対策」にもとづく2020年度補正予算案を組み替え、国民1人当たり10万円を現金給付する方針を盛り込むことを決めました。「国民一律10万円」給付は日本共産党など野党が求め続けてきたものです。その要求に背を向けてきた安倍政権の姿勢を転換させたのは、世論の力です。「10万円給付」を一刻も早く実施させるとともに、自粛・休業要請と一体の補償、検査強化と医療現場への本格的財政支援のため、補正予算案を全面的に改める組み替えに踏み切るべきです。
世論が政治動かした
補正予算案の審議は来週から始まる予定でした。しかし、その中身は、感染爆発を抑えるという点でも、苦境に立つ国民の暮らしと営業を支えるという点でも全く不十分で、国民の批判と怒りは高まる一方でした。
安倍政権が、収入が減った世帯への「1世帯30万円給付」という案を撤回し、「1人10万円給付」を打ち出したことは、もともとの補正予算案が国民の声に反するものだったことを浮き彫りにしています。審議直前に補正予算案の基本を転換するのは前代未聞の失態で、安倍政権の責任は重大です。
だいたい、安倍政権の「緊急経済対策」は、事業規模で108兆円といっても、補正予算案に盛り込まれた一般会計からの支出は16・8兆円余りにすぎず、うち当面の新型コロナ対応に使える金額は約12兆円で、個人や中小企業への給付金は6兆円です。なにより重要な医療提供体制整備の予算はわずか1490億円です。これでは、暮らしは守れず、医療崩壊を防ぐ力になりません。補正予算案の組み替えは、「1人10万円」を盛り込むだけでは済まされません。
日本共産党は安倍政権の「対策」への対案として「感染爆発、医療崩壊を止める緊急提案」を発表しました。その中では、緊急に1人10万円の給付金の仕組みをつくり、早く国民の手に届くことを明確に提起しています。さらに、外出自粛・休業要請などによって直接・間接に損失を受けている、全ての個人と事業者に生活と営業を守る補償を迅速に実施するための具体策を示しています。
雇用調整助成金の支給を「コロナ特例」として賃金の8割まで引き上げることや、政府案にある「持続化給付金」の対象を拡大するとともに、1回だけではなく、3カ月単位で支給を継続することは不可欠です。補正予算案には、こうした内容を組み込むべきです。
国民の暮らしは日に日に深刻になっています。国民世論の力で安倍政権に実現させましょう。
医療崩壊を止めるため
医療崩壊を止めるために検査体制を抜本的に改善・強化するとともに、医療現場への本格的な財政的支援を行うことは急を要します。PCR検査センターを各地につくり、必要な人を速やかに検査する体制に転換すべきです。介護・障害者など社会保障の体制を守り、ジェンダーの視点で対策を進めることも強く求められます。
食料品などにかかる消費税の減税は生活支援にとって切実です。コロナの感染拡大前から日本経済に深刻な不況をもたらしている消費税率の5%への減税は、感染が終息に向かう時期に経済を再生する最も確かな対策となります。