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2020年4月15日(水)

米国 コロナ感染・死亡率 アフリカ系住民突出

貧困・持病 背景に人種間格差

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 【ワシントン=池田晋】新型コロナウイルスの感染者・死者数がともに世界最多となった米国で、アフリカ系住民(黒人)の感染率・死亡率の高さが各州や市の集計から明らかになっています。数値は暫定的なものですが、トランプ大統領や米政府専門家もこうした人種間の格差を認めており、背景にはアフリカ系が歴史的に置かれてきた貧困や劣悪な医療環境、健康状態があるとみられています。

 南部ルイジアナ州が公表している最新データによると、人口比が32%にすぎないアフリカ系が死者884人のうち約6割を占めています。一方、人口比で62%の白人の死者の割合は3割です。

 中西部イリノイ州やミシガン州などでもアフリカ系からは同様に、人口比に対し突出して高い割合で死亡者が出ています。感染の中心地となっているニューヨーク市では、アフリカ系(人口比27・5%)とヒスパニック系(同33・5%)の死者数に占める割合が高くなっています(6日時点)。

 こうした現状を受け、トランプ氏は7日、アフリカ系住民が「非常に大きな打撃を受けている」との認識を示しました。

 自らもアフリカ系のアダムス公衆衛生局長官は、有色人種の方が高い割合で、高血圧やぜんそくといった新型コロナの重症化を招きやすい慢性疾患をもち、自宅勤務への移行が難しい職業や、過密な住宅環境に置かれていると指摘。生物学的要因から感染しやすいのではなく、「社会的に感染しやすい状態にある」と述べました。

 米紙ニューヨーク・タイムズは12日付の社説「アフリカ・ヒスパニック系の命を救え」で、少数派は日ごろから貧困、不十分な医療、慢性疾患によって不公平に苦しんでいると指摘。ウイルス検査や処置すら受けられず、急激な症状悪化によって自宅でそのまま亡くなる人が相次いでいるとし、「こうした人種間の格差は、この国の医療政策のより根本的転換を必要としている」と、できることから手を尽くすべきだと主張しています。


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