2020年3月17日(火)
障害者殺傷に死刑判決
横浜地裁 責任能力認める
やまゆり園事件
相模原市緑区の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年7月、入所者ら45人を殺傷したとして殺人などの罪に問われた植松聖被告の裁判員裁判の判決公判が16日、横浜地裁でありました。青沼潔裁判長は被告の責任能力を認め、「19名もの人命が奪われ、結果が他の事例と比較できないほど重大だ」などとして、求刑通り死刑を言い渡しました。(関連記事)
犯行時の被告の責任能力が争点。弁護側は、被告が大麻使用による精神病を発症し、異常な思考に突き動かされたと主張。心神喪失や心神耗弱による無罪や刑の減軽を求めました。検察側は完全責任能力があったとして死刑を求刑していました。
判決は、被告の犯行動機が「重度障害者は不幸」「重度障害者を『安楽死』させ、金を他に使えるようになると世界平和につながり、このような考えを示した自分は先駆者になれる」というものだったとしました。
また、やまゆり園で勤務した同被告が、利用者がかみついたり奇声を発したりするのに接したことや、家族や職員の態度に触れたことなどからこうした考えを持ったと指摘。「考えは是認できないが、それ自体は実体験を踏まえた発想として了解可能」だとし、「病的な飛躍があるとはいえない」と述べました。
犯行直前に被告が妄想を抱いていたことは認めました。しかし、被告が▽利用者や職員に声をかけ、障害の重い利用者を選び殺害した▽刃物や職員を拘束する結束バンドを事前に準備した―ことなどから「状況を的確に認識し、目的に即した柔軟な対応ができている」と判断。妄想などは程度が軽く、犯行に影響を与えたとは考えられないとし、完全責任能力があったと結論付けました。