2020年3月14日(土)
きょうの潮流
何年たっても、思い出すたびにこぼれる涙。大学1年のときに受けた、消し去ることができない痛み。女性は「それでも、あきらめる私でいたくない」と語りました。前を向いて▼性暴力の無罪判決が相次いだ昨年春に始まったフラワーデモ。こんな判決はおかしい、この苦しみを味わってほしくない。必死な思いで集まった女性たちの輪は全国にひろがり、社会を動かす大きなうねりとなりました▼きっかけの一つとなった判決がひっくり返りました。名古屋高裁は12日、娘に性的暴行を加えたとして実父を逆転有罪としました。長年にわたる虐待で抵抗することは困難だったと認めたのです▼判決を受けた被害者は耐え続けた日々を振り返り、感情もなくなり、まるで人形のようだったとコメントしました。そして、自分と同じような性被害に苦しむ子どもに「勇気をもって一歩ふみだしてほしい」と呼びかけています▼呼応するかのように、米国では性暴力で有罪判決を受けていたハリウッドの大物プロデューサーに禁錮23年が言い渡されました。「#MeToo」運動の発端ともなった女性たちの告発。本紙国際面がレイプ被害を訴えていた女性の発言を伝えています。「私の叫びが証言室に響いた日は、私の声が力を取り戻した日だった」▼1年の区切りとなった今月8日のフラワーデモ。こんどは社会が変わる番だと声を上げてきた参加者の1人が、こんな言葉を投げかけました。「私はこの社会の未来が明るいものになると、信じたい」