2020年3月12日(木)
新型コロナ注意点は
感染者診察の医師に聞く
風邪の時は大きな顔して休んで
新型コロナウイルスの感染者を診察して、自宅待機を経験した医師に話を聞きました。
せき・タンなくても
外来に来られた方は、せきやタンなどの呼吸器症状は見られませんでした。マスクを着用しており、診察もごく短時間でした。
「熱が下がらない」というので、念のためレントゲンをとりました。肺に影が認められたので、さらにCT検査した結果、「これはひょっとするとコロナかもしれない」と思い、保健所に連絡。即入院となりました。
翌日、“患者さんのPCR検査は陽性”との知らせがあり、診察医である私に2週間、保健所から自宅待機の指示が出ました。
待機中は朝晩、熱を測りました。発熱やせき、喉の痛みが出たら保健所=帰国者・接触者相談センターに連絡して、専門の医療機関(全国に844カ所ある帰国者・接触者外来)に直接行くことになると思っていました。
気をつけていたのは、十分な睡眠とバランスのとれた食事、そしてリラックスすることです。抵抗力をつけることが一番です。
予防―三つの基本
予防の基本は三つ。
(1)感染しやすい場所を避けることです。屋内で人がたくさん集まる場所―満員電車や混雑するイベント会場、ゲームセンター、喫煙室など―をできるだけ避ける。
(2)感染した人、濃厚接触の恐れのある人、かぜ症状があるか治ったばかりの人との接触を避ける。これらは風評被害とか差別ではなく、自分と周りの人を守るために、この1~2カ月間はしっかりチェックが必要です。
(3)自分にかぜ症状がある時は外出しない。いま“かぜでも絶対休めない人へ”などといったかぜ薬のCM中止を求める署名もあるようです。かぜ薬を必要とする人は外出しない。かぜの時は大きな顔をして休んでください。
医療機関は“閉鎖空間の人混み”です。患者さんが集まっていて、一番感染しやすい所ともいえます。受診はそこで長時間待つことになります。いつもより少し我慢した方が安全かもしれません。
中国で感染者が最も多い武漢では、子どもの感染率はおとなの10分の1ほどで、感染した子どもの多くは家族内感染。家族のおとなから感染しています。
東京23区で感染が確認された小学生と保育園児の姉弟も、同居する母親と祖母が感染していました。おとなの感染を防ぐことが、子どもの感染予防に最も大事です。
なお、中国やアメリカの調査で、子どもの感染比率がおとなと変わらないという調査データもあります。
医療の整備が急務
中国では、医療レベルが高い地域ほど死亡率が低いようです。しっかりした医療体制の整備こそ急務です。ところが昨年9月、厚生労働省は国内424の公立・公的病院名をあげて再編統合に向けた検討を求めました。
いま日本で一番コロナウイルスの感染者が多い北海道は、5割近い病院が対象にあげられました。その一つ、市立旭川病院は約40万人が居住する旭川地域で、感染症専門病床を6床持っています。こんな大事な医療機関をつぶすつもりでしょうか。