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2020年3月7日(土)

きょうの潮流

 福島原発事故から丸9年。この節目の月に、全国の大手電力会社でつくる電気事業連合会が原発をアピールする広告を大手新聞に掲載しました。地球温暖化を抑制するために原発が必要だと▼世界の脱炭素の流れに逆らい、大量の温室効果ガスを排出する石炭火力発電を推進しているのも電力業界です。二枚舌というしかありません。「環境にやさしいエネルギー」を演出する広告です▼原発事故がもたらした未曽有の被害をどこまでも無視しようというのでしょうか。広範な地域を放射能で汚染し、暮らしと生業(なりわい)、ふるさとを奪い、いまだに幾万もの人々が避難しています。事故の問題だけでなく、処分の見通しがない「核のゴミ」など課題は山積しています。原発が「環境にやさしい」などとよくいえたものです▼業界がこんな恥知らずな広告を出すのも、再稼働が思惑通り進んでいないためです。広島高裁では四国電力伊方原発3号機(愛媛県)の運転差し止めの仮処分決定が出ました。テロ対策施設が間に合わず、今後次つぎ停止せざるを得なくなる原発も▼耳を疑う事態も起きています。東海第2原発(茨城県)などを保有する日本原子力発電が、敦賀原発2号機(福井県)の新規制基準に基づく審査に使う地質データを無断で書き換えていました▼原子炉直下の断層が第一級の活断層と連動する可能性が指摘され、それをめぐって審査中でした。事業者自ら安全性審査の前提を崩しています。原発事故から何も学ぼうとしない姿勢がここにも。


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