2020年3月6日(金)
「パンプス強制許されない」
安倍政権、見解を転換
小池氏質問に反響
3日の参院予算委員会での日本共産党の小池晃書記局長の質疑が大きな反響を呼んでいます。小池氏が女性へのパンプスやヒールの着用強制に反対する「#KuToo(クートゥー)」運動を取り上げ、ジェンダー平等の実現に向けた課題として解決をせまった質問への答弁で、安倍政権の主張が「着用強制は許されない」という見解に大きく転換しました。
小池氏は「#KuToo」が、「靴(くつ)」と「苦痛(くつう)」、性暴力を告発する「#MeToo」を合わせた言葉で、同一の職種・仕事内容ならば男女の別なくヒールのない革靴の選択肢を要求する運動だと紹介。パンプスやヒールの強制が「外反母趾(ぼし)」はじめ足の流血などの健康被害や動きづらさなど業務への支障を生じ、性差別の問題であり、同時に健康、労働問題だと強調しました。
小池氏は、昨年1月に女優の石川優実さんがツイッターに「私はいつか女性が仕事でヒールやパンプスを履かなきゃいけないという風習をなくしたい。なんで足怪我(けが)しながら仕事しなきゃいけないんだろう、男の人はぺたんこぐつなのに」と投稿したと紹介。共感の声が広がり、6月には厚労省に署名が届けられ、その後も賛同が増えて、3万2000人を超えていると述べ、「こうした声に耳を傾ける必要がある」とせまりました。
安倍首相は「#KuToo」運動を「承知している」と答弁し、「パンプスの着用を強制するような、苦痛を強いるような、合理性を欠いたルールを女性に強いるのは許されないのは当然のこと」だと述べました。安倍首相によるこうした表明は初めてで、きわめて重要な答弁です。
加藤勝信厚労相も「『男性は靴は自由だ、女性はこうだ』というのは、男女雇用均等の立場からも正しくない」と答弁。昨年加藤氏が「社会通念に照らして業務上必要があるかどうかで判断する」と答弁(11月19日、参院厚労委)して強制することを否定しなかった見解から大きく転換したのです。
小池氏は「イギリスでは政府が、ドレスコードと性差別の指針を発表した。日本でもILO(国際労働機関)190号条約に基づく法整備が必要だ」と求めました。小池氏は質疑の最後に「パンプスの強制着用に反対する運動をされている皆さんが大変勇気づけられる答弁なのではないか」と強調。「安倍首相との質疑でこういう最後になるというのは、あまり経験のないことだが、何でもだめだと私は言うわけではないので、前向きに進めるために、この点では力を合わせたい」と表明して質疑を終えると、議場は与野党超えて大きな拍手と笑顔に包まれました。
ツイッター上では、「感動した。ジェンダー平等へ一歩前進。日本が変わる気配がする」など、首相答弁とその答弁を引き出した小池質問への共感の声があふれました。
首相答弁、次は行動で示して
女優・「#KuToo」代表 石川優実さん
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小池議員が「#KuToo」の趣旨を理解して女性差別の問題として追及し、安倍首相の答弁を聞いて、声を上げれば届く、みんなが考えるきっかけになると、とてもうれしかったです。
「#KuToo」が訴えるのは、女性も男性と同じ労働者だということです。ヒールやパンプス、服装などの強制が不合理なことは明らかですが、背景には「女性の仕事は家事の片手間」など、同じ労働者と認めない、男尊女卑の価値観があるのではないでしょうか。政治が動いてこそ社会全体が変わるはずです。
安倍首相は決意した以上、具体的に行動で示してほしい。私のもとには日々、靴や制服などの強制に苦しむ声が届きます。状況の改善が急がれています。