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2020年2月29日(土)

一律休校 現場困惑

1日でどう対応 給食キャンセル不可

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(写真)「ひなまつり会」行事の中止決定を知らせる子育て支援センターの張り紙=28日、東京都渋谷区

 新型コロナウイルス対策として、安倍晋三首相がすべての小・中・高校と特別支援学校に休校を要請してから一夜が明けた28日。急な対応に追われた学校関係者らからは戸惑いや不安の声が上がりました。休校の対象ではない保育や医療の現場にも、影響が広がっています。(取材班)

給食センター

 千葉県八街市の学校給食センター。担当者は「28日朝に市教委から『3月2日から給食の配送を止めてほしい』と連絡があった」と語ります。

 同センターは市内13の小中学校に5000食を配送しています。「すでに年度内の食材の発注を終えている。キャンセルは難しいという業者もある」

 調理担当の職員約50人の6割がパートなどの非正規労働者。「一時的に休んでもらうことも考えられるが、市と協議する必要があり、まだ決まっていない」といいます。

特別支援学校

 東京都内の特別支援学校中学部2年の女子生徒は、自閉症と知的障害があります。

 母親は「突然学校を休むことになれば、子どもは不安になる。障害の特性上、イレギュラーなことに対応するのが難しい。長く休んだ後でどう学校に戻すかも悩ましい」と心境を語ります。

 都障害児学校教職員組合の板原毅副委員長は「対応する時間が短すぎる。休校するならもっと早く知らせてほしい。一人ひとりの子どもに合わせた課題を準備するのは、1日ではとても無理だ」と指摘します。

保育園・児童クラブ

 「職員に風邪症状が出たら休ませるようにという事務連絡が厚生労働省から出ていたのに、今度は『保育園は開けろ』と言う」と戸惑うのは、愛知県内の認可保育園の保育士です。

 厚労省は25日の事務連絡で、保育士の人数が配置基準を満たさなくなった場合は「基準の適用については…保育に可能な限り影響が生じない範囲で配慮を」としています。

 「今のままでは十分な体制が組めないし、配置基準以下でもいいといわれても心配。自治体や国の手だてがないと、安全・安心の保育が保障できない」

 東京・多摩地区の認可保育園の保育主任も、「小学校低学年の子どもがいる保育士もいる。休校で、園の勤務体制に影響が出るかもしれない」と話します。

 困惑は、放課後や長期休暇中の児童が通う「放課後児童クラブ」「学童保育」でも。

 児童約160人が通う千葉県内の放課後児童クラブの50代の女性指導員は、年度末になる前に退所を決めた複数の児童の保護者から「退所を取りやめて子どもを戻したい」と連絡があったと話します。

 「市役所から方針の連絡を待っている。2月最後の平日なので、早く連絡がないと対応できない。とにかく時間がない」

 利用者が多いことも不安材料です。「学校より感染リスクが高いかもしれない。マスクや消毒薬が市から支給されるわけでもなく、マスクは保護者が用意することになる」

医療機関

 国の要請に先立って28日以降、すべての小中学校が休校している札幌市。ある総合病院(病床数450)では、小学生の子どもがいる看護師や事務職員ら5人が出勤できなくなりました。

 事務長の男性は「初日は何とか対応したが、今後も看護師が休むケースが想定され、厳しくなってくる。急を要さない患者には来週の入院予定を再来週以降に延期してもらうようお願いしている」と話します。

 「長引けば地域医療体制の維持にも影響する。全国一律の休校措置には無理があると思う」


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