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2020年2月29日(土)

国連総長「男女平等の世紀に」

女性の潜在能力発揮 妨げる仕組み変えよ

米NYで演説

 国連のグテレス事務総長は27日、ニューヨーク市内で演説し「奴隷制や植民地主義が汚点であったように、21世紀においては女性が被る不平等を私たちはみな恥じ入るべきだ」「21世紀は男女平等の世紀にしなければならない」と語り、ジェンダー平等社会の実現を呼び掛けました。変化を促すために女性に対して差別的な法律を持つ国の政府に働き掛ける姿勢も示しました。

 ニューヨークでは来月、「国連女性の地位委員会」の会議が開かれます。「女性を変えようとすることをやめて、女性の潜在的能力の発揮を妨げているシステムの変革を始めるときだ」と語ったグテレス氏。女性差別撤廃、ジェンダー平等へ国連がいっそう強い意気込みを示した形です。

「女性差別、至る所に」

国連総長「平等は男性にも有益」

 グテレス氏は、女性のたたかいによって前進はあるものの「不平等と差別は至る所にある」と指摘しました。暴力、レイプやDV(ドメスティックバイオレンス)被害者の法的保護の後退、ハラスメントや脅迫、服装の規制、政府・企業の幹部職からの排除、平和交渉からの排除などを例に挙げました。

 また「不平等の隠された層」が私たちの社会の中にあるとし、「男性が標準で女性が例外だと疑いもなく前提とされていること」が問題だと告発。▽車の座席やシートベルトが男性向けで、交通事故で女性が負傷する危険が高い▽治療器具の設計が男性標準で、女性の心臓発作による死亡率が高い―などの指摘を紹介しました。

 グテレス氏は一方で「家父長制や不平等がもたらす打撃は女性だけにとどまらない」とし、男性らしさの固定観念がつくられていると強調。「ジェンダー平等は男性の人間関係にとっても有益だ」と強調しました。

 「ジェンダー平等が世界を変革できる五つの分野」として、▽紛争と暴力▽気候危機▽インクルーシブ(誰も排除しない)経済▽デジタル格差▽政治参加―を挙げました。

 「政治参加」については、政府のなかで女性の比重が大きくなることは、教育や医療への投資など「社会進歩や人々の暮らしにとって重要な変化を促す」と指摘。「幸福度や持続可能性を含むよう国内総生産(GDP)の再定義を行っている政府が女性によって主導されていることは偶然ではない」と述べました。

 また国連では今年1月、常勤の最高幹部職の男女同数を目標期限より2年前倒しで達成したことを報告しました。

 グテレス氏はこれまでも女性への割り当てを決めるクオータ制を支持してきたことに触れ、「今こそ政府、議会、企業役員会、あらゆる機構で男女同数を実現する時だ」と力を込めました。「差別的な法律を持つ政府には、変更を主導し、支援を申し出るために連絡を取る。各国の新たな政権には幹部職において男女同数を達成するよう促す」と述べました。


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