2020年2月16日(日)
首相と写真 マルチ利用
「桜」の記念撮影も
「見せれば みんな入会」
2017年に特定商取引法違反で消費者庁から取引停止命令を受けたマルチ業者の勧誘に、安倍晋三首相や妻の昭恵氏らが業者らしき人物と一緒に写った写真が利用されていたことが、実際に勧誘を受けた人の証言でわかりました。首相主催の公的行事「桜を見る会」での写真とみられるものも。首相らがマルチ被害拡大に結果的に加担していなかったか、説明責任が問われます。(取材班)
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「首相らと一緒の写真が、マルチ業者の信用性をアピールするための道具だと感じた」
関東地方の会社経営の男性がそう証言します。17年ごろ、知人のマルチ業者会員の男性に勧誘されました。
この業者は「クローバーコイン」と称する仮想通貨を扱っていた「48(よつば)ホールディングス」(札幌市)。消費者庁の発表(17年)によると、勧誘者が、クローバーコインの価値が上がるかどうかわからないにもかかわらず、「完全に上がる。買わなきゃ損をする」「1カ月半後には10倍に値上がりする」などと告げていました。必要な契約書面の不交付などもありました。
会社経営の男性が「怪しい会社だ」と勧誘を断ったところ、後日、その知人からスマートフォンに写真3点が届いたといいます。
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一つは48社社長だった淡路明人氏と取締役だった中田義弘氏とみられる人物が、半袖姿の安倍首相と写るもの。中田氏と昭恵氏のツーショット、「桜を見る会」会場で撮った菅義偉官房長官と中田氏とみられる写真もありました。
「知人は『安倍さんや菅さんとツーショットを撮れるような立派な人がクローバーをやっているんだ』と強調した。写真は北海道であった同社のセミナーで、関係者からもらったと話していた」
さらに知人は「この写真を見せればみんなクローバーに入ってくる」とも語ったといいます。男性は「実際に勧誘に使っていると思った」と語ります。
悪質業者と安倍首相との関係については、預託商法ジャパンライフが山口隆祥会長あての「桜を見る会」の招待状を勧誘に利用していたことが国会で問題になっています。