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2020年2月12日(水)

トランプ米政権予算教書

軍事聖域 核兵器を近代化

社会保障・対外援助は削減

 【ワシントン=遠藤誠二】米トランプ政権は10日、総額4兆8000億ドル(約528兆円)規模の2021会計年度(2020年10月―21年9月)の予算教書を議会に提出しました。社会保障費や対外援助を削減する一方で、軍事費は聖域として核兵器関連予算を増加させる危険な中身となっています。

 予算教書は、経済成長を3%と見込んでいます。「裁量的経費」のうち、民生費を前年度比5%減の5900億ドルとしながら、軍事費は3%増の約7400億ドルになっています。

 国防総省の予算は8億ドル増加。戦略ミサイル原子力潜水艦(SSBN)を含む新しい戦闘部隊に193億ドル費やすとしています。

 国防総省幹部はロイター通信に、核兵器近代化のための予算を昨年から18%増やし290億ドル要求したと語りました。予算教書は、核兵器運搬システムの近代化をはかるとうたっています。議会予算局(OMB)は、核兵器近代化には今後30年間で3兆ドル以上が必要と指摘しています。

 また、エネルギー省核安全保障局(NNSA)の予算も198億ドル、前年度比19%増と突出しています。

 米国防総省は4日に、新型小型核弾頭を搭載した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を実戦配備したと発表しました。

 その他、宇宙軍予算も増加。トランプ政権は2024年までに有人月面着陸を目指していますが、航空宇宙局(NASA)予算も24%増やしました。

 一方、メディケイド(低所得者向け医療保険制度)などの「義務的経費」を減らし、国務省・国際開発庁(USAID)予算も22%減と大なたを振るいます。

 環境保護局(EPA)予算は26%減。気候変動・環境保護対策に後ろ向きなトランプ政権の姿勢が示されています。

貧困層の困窮さらに

10年で500兆円支出減狙う

 トランプ政権が発表した予算教書は、11月の大統領選で再選を果たした場合の政権2期目をにらむ財政方針を示したものでもあります。

 ワシントンを拠点に活動する民間調査機関「予算・政策優先センター(CBPP)」のグリーンスタイン代表は、「2021予算教書は、恵まれた状況下にない数千万の米国民をさらに貧困に陥れ、困窮を拡大させる原因となる」と批判します。

 予算教書は今後10年間で、4兆6000億ドル(約500兆円)の支出を減らすことを目標としています。メディケイド(低所得者向け医療保険制度)プログラム、フードスタンプ(食料配給券)予算を2900億ドル減らす予定です。学生ローン救済の予算も削減。弱者切り捨ての中身になっています。

 内外から批判を受けるメキシコ国境での壁建設費用に200億ドルを計上。前年度比で半減以下ですが、昨年同様、国防予算から流用する可能性があります。

 省庁別でみると、増額組、減額組がはっきりと分かれます。

 移民を取り締まる国土安全保障省は前年度比3・2%増。退役軍人省予算は14%増加します。一方、教育省予算は7・8%、厚生省は10%、住宅・都市開発省は15%、内務省は16%の減額です。

 新型コロナウイルスを担当する疾病対策センター(CDC)の全体予算は9%減らされます。

 民主党のペロシ下院議長は、「トランプ大統領が、国民の健康や財政上の安全保障、勤労国民とその家族の福祉に少しの価値もおいていないことを示すものだ」と酷評しました。予算教書は、民主党が過半数を握る下院で拒絶される見通しで、トランプ政権と民主党の攻防が予想されます。(ワシントン=遠藤誠二)


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