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2020年2月11日(火)

野党連合政権へ「政治決断」を

小沢政治塾 志位委員長の講演

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(写真)講演する志位和夫委員長=9日、東京都新宿区

 日本共産党の志位和夫委員長は、9日に東京都内で行われた「小沢一郎政治塾」20周年記念特別講演に講師として招かれ、「本気の共闘と日本共産党の立場」と題して講演を行いました。志位氏は、野党共闘を発展、飛躍させるうえで、「政権合意」を行うことが決定的に重要であり、それが政策協議でも、選挙協力でも大きな力を発揮することを強調。他の野党にそのための「政治決断」をよびかけました。

野党共闘の大きな課題――政権問題で前向きの合意をつくること

 志位氏は、5年間の野党共闘の成果に触れたうえで、大きな課題があるとして「それは政権問題で、前向きの合意をつくるということです」と強調。5年前、「安保法制廃止の国民連合政府」を提案した際、この政府をつくることで一致する野党の選挙協力――政権問題での合意を選挙協力の前提として提案したと指摘しました。「私は、これは当たり前の筋と考えました。選挙は政権をとるためのものです。選挙協力をやれば当然、政権協力するのが当たり前ではないかと考えました」

 しかし当時、“共産党と政権まで一緒にやるのか”“とても無理ではないか”という意見も強く、一致が得られませんでした。そのため、2016年2月の5野党の党首会談で、選挙協力が合意されたとき、国民連合政府の提案は横に置いて選挙協力をすることを表明し、選挙協力をすすめてきました。

 志位氏は、16年の参院選、17年の衆院選、19年の参院選と3回の国政選挙で一定の成果も得たが、「いまこの共闘を飛躍させる、バージョンアップさせるには、政権問題での前向きの合意をつくることがどうしても必要ではないか」と強調しました。

「政治を変える」という本気度がビンビン伝わる共闘に発展を

 「安倍1強」と言われるものの、この6回の国政選挙での自民党の比例での有権者比得票率は15~18%であり、一度も2割に達したことはありません。自民党が議席で多数を占めてきたのは、選挙制度の問題と、低投票率に原因があると指摘しました。

 志位氏は、「なぜ投票率が低いか。その最大の責任は安倍首相にあります。あらゆることでウソをつく。首相の姿勢は、“ウソをつき続ければいい。そのうちウソに慣れる、そしてあきらめる”。こうやって、あらゆる面で政治不信をつくってきた。安倍首相がつくった政治不信によって、低投票率がつくりだされている。その責任は重い」と語りました。

 同時に、「野党の側にも努力すべき問題がある」と語った志位氏は、参院選直後の世論調査で、「安倍政権を支持しない」人の中にも棄権が多かったことに言及。「支持はしないが、『どうせ一票入れても、政治は変わらない』『暮らしは変わらない』と棄権した方が少なくない」として、棄権した有権者が投票所に足を運べば、情勢が激変し、政権交代の可能性が大きく開けると強調しました。

 「そういう状況をどうつくるか。野党共闘を『政治を変える』という本気度が、有権者にビンビン伝わるような共闘にバージョンアップさせる必要がある。その要になるのが政権構想です。つまり安倍政権を倒すのはいい。しかし、倒した後に“こういう政権を野党はつくります”という政権構想を示すことが、いま必要ではないでしょうか」と訴えました。

三つの課題を一体に――政権をともにする政治合意が最大のカギ

 参院選後の昨年8月、日本共産党の創立97周年記念講演会で、野党連合政権にむけた話し合いを始めることをよびかけました。

 その後、野党4党の党首と会談で「安倍政権を倒し、政権を代え、立憲主義を取り戻す」と、政権交代までは一致が得られたとして、「半歩進んだと思っています」と指摘。さらに今年1月に開かれた日本共産党28回大会で、立憲民主党、国民民主党、社民党、沖縄の風、碧水会、ゲストの6人があいさつし、「野党共闘を積み重ねていけば、おのずとその先に政権が見えてくる」という発言があったことも紹介し、「ぜひここは、もう一歩先に進めたいというのが、私の強い思いです」と語りました。

 志位氏は、「これらを進める場合、三つの課題を一体に話し合っていきたい」と表明しました。

 第一は、安倍政権に代わる政権をともにつくることです。志位氏は「共産党も含めて、ともに政権をつくるという政治的な合意、意思を確認することが大切だと考えています」と語りました。

 総がかり行動実行委員会の福山真劫共同代表が、「5年前に共産党が国民連合政府を提案したときには、ずいぶん唐突感があった。しかし、いま野党連合政権というのは、まったく違和感がない」と語っていることに触れて、「3回の国政選挙で共闘を積み重ねてきて、確実に信頼のきずなが広がった。政策の合意も広がった。あとは政治的決断だけじゃないでしょうか」と語りました。

 第二は、政権が実行する政策=政権公約の協議を行うことです。その土台として、野党と市民連合が合意した13項目の政策合意があり、そのエッセンスとして、(1)憲法にもとづき、立憲主義、民主主義、平和主義を回復する(2)格差をただし、暮らし・家計応援第一の政治にきりかえる(3)多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する政治を築く―という三つの理念があり、野党はすでに共有しているのではないかと語りました。「これを土台に、政権が実行する政策=政権公約を話し合っていこうということをよびかけたいと思います」と述べました。

 第三は、小選挙区での選挙協力です。

 志位氏は、「この三つをいわば三位一体でやりたい。同時に、この三つの中でも第一の課題、政権をともにする政治的合意が最大のカギになると思います。そこは、ぜひ他の野党のみなさんもここは決断していただきたい。われわれと一緒に政権を奪っていく。この決断をしようじゃないかということをこの場をお借りして訴えたい」と強調すると、会場から大きな拍手が起こりました。

政権として実行する政策=政権公約をつくるための協議を

 志位氏は、「共産党とも政権協力をやろうとなった場合、政策の協議、選挙協力も、まったく違ったフェーズ(局面)になると思っています。まず政策協議が、一般的な政策の話し合いではなく、政権が実行する政策、つまり政権公約をつくるという協議になってきます。そうしたら、まったく国民に対するインパクトが変わってきます」と述べました。

 同時に、政権公約の協議に入れば、政権として不一致点にどう対応するかも話し合うことができるとして、「一致点を大事にし、不一致点は持ち込まない。この態度で対応していきます」と表明。日本共産党の独自の政策である日米安保条約の廃棄や、自衛隊は違憲との見解、社会主義・共産主義にすすむという将来展望などは、大いに主張するが、政権に持ち込むことはしないと語りました。

 そのうえで志位氏は、党大会で綱領を一部改定し、中国に対する規定を見直したことを紹介。「中国による大国主義・覇権主義の行動が目に余ります。社会主義・共産党を名乗っていますが、その行動は『共産党』の名には値しません」と批判するとともに、「日本共産党は、自由、民主主義、人権などの成果をすべて引き継ぎ、豊かに発展させていく」と表明しました。

 志位氏は、「選挙協力を考えても、政権合意が得られるかどうかで、選挙協力の度合いも異なってくると思います。政権までともにしよう。ここまで腹が固まったら、最大限の選挙協力ができると思います。ぜひこの点でも、他の野党のみなさんに踏み切りを訴えたい」と語りかけました。

 志位氏は、安倍政権は政権末期だとして、「桜を見る会」疑惑では「日本語で説明できなくなった」こと、内政・外交ともに行き詰まっていると批判。「この政権を倒さなければならない。これは自明のことだと思います。倒した後にどういう政権をつくるのか。ここまで野党として示して、選挙に勝とうではありませんか」と力を込めました。


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