2020年2月4日(火)
科学技術基本法「改正」案めぐり議論
大学フォーラムが研究会
基礎研究の視点後退・産学官連携強化を懸念
「大学の危機をのりこえ、明日を拓(ひら)くフォーラム」は2日、東京都内で研究会を開き、今国会に提出が予想される科学技術基本法「改正」案をめぐって議論しました。科学技術基本法は科学技術政策の根拠となる法律ですが、「改正」が大学危機に拍車をかけることが危惧されています。52人が参加しました。
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報告にたった佐藤岩夫東京大学教授は、「改正」で法に書き込まれようとしている「イノベーション(新しい社会的価値や技術の創造)の創出」について、「基本法本来の目的である科学・技術振興、とくに基礎研究振興の視点が後退しないか注視する必要がある」と指摘。現行法で振興の対象から除かれている人文・社会科学を「改正」案が法律に位置づけることは「評価すべき」としつつ「独自の持続的振興が重要だ」と強調しました。
野村康秀日本科学者会議科学・技術政策委員は、「改正」案が大学や国立研究所にイノベーション創出のため「成果の普及」を義務づけようとしているとして、産学官連携への国家動員が強まる危険性を訴えました。
兵藤友博立命館大名誉教授は、近年の科学・技術振興と研究開発を振り返り「『イノベーション』明記は『社会貢献』の名の下に学術研究を従属させてしまう」と懸念を示しました。
会場から発言が相次ぎ、人文科学を振興対象から外している文言を削除する影響、人文系学問が迫害されている実態などが活発に語られました。