2020年1月28日(火)
主張
消費不況の顕在化
安倍「失政」の責任は重大だ
安倍晋三政権が2019年10月に消費税の税率を10%に引き上げてから、家計の消費が一層低迷し、新たな消費不況を招きつつあることが明らかになっています。政府の公式な景気判断である1月の月例経済報告(22日発表)も「景気は、輸出が引き続き弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増しているものの、緩やかに回復している」と述べつつ、「消費税率引上げ後の消費者マインドの動向に留意する必要がある」と言わざるを得ません。安倍政権は消費税増税が失政だったと認め、消費税率を緊急に5%に戻し、暮らしと経済の再建をはかるべきです。
国民に冷たい安倍政治
消費税増税後に発表された各種の経済指標は、全く振るいません。家計の消費支出は19年10、11月と2カ月連続で前年同月に比べマイナスです。内閣府の景気動向指数は直近の11月まで4カ月連続の「悪化」です。11月の商業販売額は前年同月比6・5%減の大幅な落ち込みです。19年のスーパーの売り上げは前年比で4年連続のマイナスとなりました。民間の信用調査機関「東京商工リサーチ」がまとめた企業の倒産統計(負債額1000万円以上)では、19年の年間倒産件数が11年ぶりに前年を上回りました。
日本銀行が今月初め発表した3カ月ごとの「生活意識に関するアンケート調査」では、個人の景況感が6期連続で悪化しました。14年12月以来5年ぶりの低さです。
消費税増税後、地域の商店街でも閉店したり倒産したりする中小業者が目立ちます。増税による売り上げ減に加え、大手の店舗やキャッシュレス決済でのポイント還元ができる店などに客を奪われ、複数税率の導入によって事務負担が増えるなど、三重苦、四重苦を押し付けられているからです。高知県では倒産したスーパーが、10%増税によって資金繰りが困難になったとの「おわび」の文書を、店頭に掲示するという事態までおきました。
衆院の代表質問で日本共産党の志位和夫委員長は、こうした事実を具体的に示し、消費税増税が日本経済に新たな不況をもたらし、中小業者を深刻な苦境の淵に追い込んでいるとただしました(23日)。しかし首相は、「万全の備えを講じている」などと言い訳するだけで、まともに答えません。国民や中小業者の痛みには目を向けない冷たい姿勢です。
12年の第2次安倍政権発足以降、消費税は14年4月に8%、19年10月に10%に引き上げられ、消費と経済を冷え込ませています。20年度予算案の税収見積もりでは消費税が最大の税目になりました。国民に大きな負担を押し付けながら、大企業を減税などで優遇し、アメリカからの兵器“爆買い”などの軍拡に巨額の費用を投じるのは、“逆立ち財政”というほかありません。消費税率を5%に戻し、国民を応援する政治への切り替えが重要です。
国民の暮らし守る政権を
消費税減税や暮らしを支える政策の財源は、大企業や大資産家の応分な負担や、兵器“爆買い”など無駄の削減で十分可能です。必要なのは政治の姿勢を根本から改めることです。国民に冷たい安倍政権を退陣に追い込み、市民と野党の力で、暮らしを守る政権を打ち立てようではありませんか。