2020年1月27日(月)
きょうの潮流
近所のお店で閉店近い時間帯に貼られる総菜類の「半額」値引き。「本日まで」の賞味期限に手を引っ込めますか、率先して買いますか―▼福島・二本松市での「持続可能な農と食をめざす」シンポで基調講演した国連食糧農業機関(FAO)駐日所長のチャールズ・ボリコさんの問いかけです。「廃棄されるよりは買う」とボリコさん、こう続けます▼「世界の食料総生産の約3分の1、13億トンが食料ロスか廃棄となっています。土地や水、労力、投入資材などが無駄となり、世界の食料ロスまたは廃棄による損失は毎年約2兆6000億ドルです」。食料ロスによる温室効果ガス排出量は中国、米国に次ぐ多さ▼「自分たちの地球という考えが大切です。必要以上のものは買わない、食べられる物は捨てない。賢い消費者になることで、世界は変わる」と▼参加した農業者から昨年からの国連「家族農業の10年」の運動を力にしようとの発言も。国連は広く「家族労働力によって営まれる農林漁業」と定義。「ジェンダー平等や気候変動への具体的な対策などSDGs(国連の持続可能な開発目標)達成の“核”として、家族農業の役割を評価している」とボリコさん。世界は、自然環境に合わせた小規模な農林漁業に光をあて政策的・財政的な支援を強化する方向に舵(かじ)を切りました▼多くの農薬や化学肥料を使った大規模化や農業の企業化ばかりをたたえる安倍農政と真逆です。疲弊させられた地域と農林水産業をどう再生するのか、再検討が急務です。