2020年1月24日(金)
京都市長選2.2決戦
福山候補に希望 広がる期待
給付制奨学金政策「心強い」
大激戦の京都市長選(2月2日投開票)。序盤から全力疾走する「つなぐ京都2020」の福山和人候補を追い、広がる期待の声を聞きました。(京都府・岡本大介)
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澄み切った青空となった告示日(19日)の朝。市役所前の出発式には680人の市民。「待ってました」「福ちゃーん」の掛け声が飛ぶ中、福山候補が第一声。声を詰まらせ「奨学金で破産することになった若者、『はよ死にたい』と言ったお年寄り、『もう限界や。店たたむ』と言ったかばん屋さん。パートをいくつも掛け持ちし『子どもに弁当をつくってやれない私はだめな母親でしょうか』と言ったお母さん。しんどいのはみなさんのせいやない。政治がまっとうに働く市民を支えてないからや」と訴え歓声が湧きました。
出発式には2年前の府知事選から共同を発展させる多数の市民、立憲民主サポーターも参加。「福山市長で希望を取り戻そうと、みんなが一体になり涙が出た」と、市民グループに加わる女性(58)。「つなぐ京都2020」の共同代表についた西郷南海子(みなこ)さんは「もう善戦はいらない。マニフェスト(公約)をともに練り上げたものとして勝利に全力を挙げる」と気合たっぷり。
「ないのはお金でなく、やる気」。共感を広げるのが全員制の中学給食など市予算の1%でできる「すぐやるパッケージ」。中でも反響を呼ぶのが、中学卒業までの医療費無料化や、市独自の給付制奨学金(国公立大年7万2千円、私立大年10万8千円)、奨学金返済の利息分補助、地下鉄定期の割引率アップなどです。
「普通に生活しているだけなのに余裕がない。子どもを大学に行かせられるか相談する日々。給付制奨学金ができれば助かる。福山さんはいつも気さく。頑張って」。19日昼、福山候補の地元・左京区修学院の演説で、近所の女性(43)=パート=はこうエールを送りました。
京都大学前(20日)では、演説を調べて来た同大2回生が「実家は苦しく、年7万円あれば買えなかった本も買える。この政策に言及するのは福山さんだけ。心強い」と熱っぽく語りました。
現職に投票してきた人も“まちこわし止めて”
「観光公害」やまちこわしをめぐり、焦点となる世界遺産・仁和寺(にんなじ)前のホテル計画。反対を掲げる福山候補は「市長は特例で造ろうとし、別の候補は容認。京都破壊を止められるのは私だけ」と訴え、「京都のまちを守って」と保守や幅広い層に支持を広げています。
左京区の演説会(19日夜)では、日本庭園の名勝「無鄰菴(むりんあん)」隣のホテル計画に反対する東村美紀子さんが、現職に投票してきたことを悔やみ「京都市は住民の声に耳を貸さない。それなら市長選で頭をとり換えればいい」と呼びかけ、どっと拍手が起こりました。
初めて選挙応援
西京区役所前(21日昼)では「下鴨神社のマンションから仁和寺前まで、市民の方を向かない市政に黙っていられなくなった」という会社員女性(43)が駆け付け、「今朝からLINE(ライン)でママ友に広げている」と初めての選挙応援に奮起。
北野白梅町駅前(21日夕)で、足を止めた勤務医の女性(38)は「観光政策と同じで、この駅舎改修とバス路線変更の問題でも市民の意見を聞かない。3候補の主張も読み比べたがリニアやカジノでは京都がダメになる。今回は9割方、福山さんに決めた」。
ずばり、「政治とは庶民の財布をどう温めるかの問題」と福山候補。各地で京都経済の落ち込みを告発し「毎年700件が倒産・休廃業。『乾いたタオルをしぼる』と言った現市政12年の結果だ。リニアや北陸新幹線延伸ではスーパーゼネコンがもうかるだけ。市民のふところをあたため、中小企業をしっかり支え京都にお金を回す」と力説します。
業者からも激励
告示翌日に歩いた新大宮商店街(北区)。天然魚を扱う店主(61)は「いまの政治は中小企業の方を向いていない。大きな店だけ強くなって、このままでは商店街はなくなる。変わってほしいね」と期待を込めました。
「京都の食を支える市場の整備に全力で取り組む。工事に地元業者が参加できるかもチェックしていく」。21日早朝には、運搬車が走り回り活気づく京都市中央卸売市場で訴え。長靴姿で駆け巡る福山候補に、マグロをさばく職人や業者から「もう門川さんではあかん」「がんばって」と激励の声が相次ぎました。
府知事選から重視してきたのが京都の伝統産業の振興です。22日には宣伝の合間を縫い、全国で唯一、伝統的工法で「京瓦」をつくる浅田晶久さん(71)=伏見区=の工場を訪問。浅田さんは火が残る窯を前に「いったん技術が途絶えたら取り戻すのは大変。一企業だけで継承は無理。頑張ってほしい」と期待を表明。福山候補は「地元自治体でこそきめ細かい支援ができる」と応じました。
序盤を終え、「知事選の最終盤よりも手応えを感じる」と福山候補。こぶしを握りしめ「市民の暮らし底上げの仕事、何が何でもやり抜かせてほしい。そのために、みなさんの力がどうしても必要です。僕も最後の最後まで全力で頑張る」と力が入ります。