2020年1月19日(日)
志位和夫著『21世紀の世界をどうとらえ、どうたたかうか 綱領一部改定案を語る』
党綱領を学ぶ最良のテキスト
田村智子
|
昨年11月、日本民主青年同盟全国大会の講演として、日本共産党の志位和夫委員長が綱領一部改定案を語りました。「今まで高校生として学校で学んだ世界史とは違う視点の世界の見方には、目からうろこだった」「自分たちは大きな歴史の中に生きていて、その歴史を引き継ぎ次へ渡す立場、この社会を前進させ歴史をつくる立場にいるんだと確信した」など、10代、20代の若者たちに大きな感動を与え、社会変革への確信を培いました。
生命力伝える力
この講演を一部加筆しさらに充実させた本書は、綱領を学ぶ最良のテキストです。特に青年学生の関心や模索と響き合いながら、党綱領の生命力を生き生きと伝える力を持っています。
いまニュースを見れば、対立・分断・紛争に揺れる世界情勢など、21世紀という時代への不安が助長されることが多々あります。本書は、人類は20世紀に巨大で前向きな「世界の構造変化」を築いたこと、その土台の上に21世紀の世界が前進していることを豊かに証明しています。
植民地体制の崩壊により国際社会を構成する独立国が劇的に増えた20世紀と、小さな独立国と市民社会が核兵器禁止条約を実現し核大国を包囲している21世紀。女性差別撤廃条約や子どもの権利条約など、人権問題を国際社会の重要な課題に位置づけた20世紀と、ジェンダー平等を求める運動が国境を越えて広がる21世紀。「人民のたたかいこそが歴史を動かす」という科学的社会主義の世界観・歴史観は、世界のとらえ方を一変させ、私たちの日々のたたかいが世界を動かす一歩一歩なのだと、胸躍る思いがわき上がります。
根本的解決に目
さらにこの世界観は、未来社会の展望にもつながります。昨年、気候変動への対策を強く訴える若者たちの運動が国際的に起こりました。喫緊の対策とともに、資本主義の限界を乗り越える根本的な解決に目を向けざるを得ない、これが今日の世界の実態なのです。
綱領改定案の全党討議では、中国について、もはや「社会主義をめざす新しい探究が開始」された国とする根拠はないとしたことに大きな共感が寄せられました。中国の大国主義・覇権主義、人権抑圧を厳密に解明しての判断ですが、この問題も「世界の構造変化」の中でとらえることで、中国が世界史の発展方向に逆行し、人民のたたかいを妨害する役割を果たしていることが浮き彫りとなります。同様に、安倍政権の対米従属、大国にこびへつらう外交の異様さ、未来のなさも完膚なきまでに明らかとなります。
国内では野党連合政権をどう実現するのかが焦眉の課題ですが、新しい政治の方向が世界の前向きな変化と重なってこそ、大きな希望となるでしょう。党綱領の生命力を多くの人たちに伝えるために、本書を大いに活用してほしいと願っています。
(たむら・ともこ 日本共産党副委員長、参議院議員)