2020年1月12日(日)
「桜」名簿 安倍政権下で違法廃棄
意図的隠ぺい深まる疑惑
安倍晋三首相の私物化疑惑が深まる「桜を見る会」。その招待者名簿が第2次安倍政権になってから、公文書として扱われず、違法に廃棄されていたことが、昨年の臨時国会閉会後から次々と明らかになっています。検証を避けるために安倍政権が意図的に招待者名簿を隠ぺいしたのではないか、という疑いはさらに強まっています。
「決裁行為」なし
第2次安倍政権発足翌年の2013年以降、桜を見る会の招待者名簿の決裁が行われなくなったことが、昨年12月26日の野党追及本部の合同ヒアリングで明らかになりました。
きっかけは、日本共産党の宮本徹衆院議員が同月24日に国立公文書館で「平成18年(06年)桜を見る会決裁」というファイルを発見したことでした。内閣府は、桜を見る会の招待者名簿について「決裁行為」は一切なかったと説明していましたが、宮本氏が見つけた文書には、招待者の決定に首相以下、官房長官、内閣府事務次官、官房長、大臣官房審議官らの決裁印があったことが判明したのです。決裁が行われなくなったのは第2次安倍政権以降のことでした。
宮本氏が見つけた文書では、桜を見る会の招待状に付された「60」の区分番号が「総理大臣」推薦であることも記されていました。
区分番号「60」は、マルチ商法会社「ジャパンライフ」会長(当時)に15年に送られた招待状に付された番号で、安倍首相の推薦枠で招かれた疑いもあります。安倍政権が、桜を見る会の招待者の決定についての責任の所在を隠そうと招待者名簿の決裁をやめたのではないか、との疑惑が新たに浮上しています。
廃棄簿に不記載
しかも、桜を見る会の招待者名簿は13年から17年までの5年間、公文書管理法に違反して、行政文書ファイル管理簿にも記載されず、首相合意も得ずに廃棄し、ガイドラインで記録が義務付けられている廃棄簿にも記載されていなかったことが、菅義偉官房長官の今年1月7日の会見で新たに判明。「内閣府があらかじめ定められた手続きにのっとって、適正に廃棄をしている」(安倍首相、昨年12月9日の記者会見)というこれまでの政府の説明が根底から覆りました。
菅官房長官は10日の会見で「事務的な記録漏れ」などと述べて火消しに躍起となっています。しかし、法令違反が繰り返された原因や責任については、あいまいなままです。
管理簿にもなし
さらに安倍政権は、18年以降の招待者名簿については、保存期間をそれまでの「1年」から「1年未満」に変更し、行政文書ファイル管理簿への記載義務もなくして、会の終了後、即座に廃棄し始めました。
昨年の桜を見る会の招待者名簿を廃棄したのは、日本共産党の宮本氏が資料要求した5月9日。さらに、文書保存期間の根拠となる内規の文言を内閣府が変更したのは、日本共産党の田村智子参院議員が政府に説明を求めた3日後の10月28日でした。政府の担当者は、国会での議論を受けて保存期間を根拠づける内規の文言を変更した事実も認めています。
昨年の臨時国会閉会後、新たに発覚したこれらの事実はどれも、安倍政権が招待者名簿を隠ぺいするために意図的に行ってきた可能性を裏付けるものです。
(佐藤高志)
安倍政権下での桜を見る会の招待者名簿隠ぺい疑惑
2012年12月
第2次安倍政権発足
13年~17年
招待者名簿の決裁を行わず
招待者名簿を管理簿に記載・公表しないなど、公文書管理法違反をつづける
18年
招待者名簿の保存期間を「1年未満」に変更
19年
国会追及を受けると即座に廃棄、保存期間の根拠となる内規の文言を変更