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2020年1月11日(土)

真珠貝 6000年前頃 北上

本州などへ 海水温上昇が影響

研究グループ発表

写真

(写真)真珠を形成しているアコヤガイ(沖縄科学技術大学院大学提供)

 日本で真珠の養殖に利用されているアコヤガイは、最終氷期が終わって本州や四国、九州周辺の海水温が上昇した6000年前ごろ北上してきたことがわかった―。沖縄科学技術大学院大学(OIST)と水産研究・教育機構増養殖研究所、三重県農林水産部の研究グループが10日付の科学誌『エボリューショナリー・アプリケーションズ』に発表しました。

 アコヤガイは、本州や四国、九州周辺の北方の海だけでなく、南西諸島や中国南部、カンボジアなど南方の海に広く分布しています。OISTの竹内猛研究員を中心とする研究グループは、各地から採取した約200個体のアコヤガイのゲノム(全遺伝情報)を解読し、塩基配列を比較。北方の海に生息するアコヤガイと、南方の海に生息するアコヤガイは遺伝的に離れていることがわかりました。

 南方の海のアコヤガイは黒潮に乗って容易にこれらの地域に移動できるのに、なぜ北方の海のアコヤガイと、遺伝的に離れているのか、新たな謎が生まれました。研究グループは、さまざまな環境要因と遺伝的多様性の関連を調べ、海面水温と酸素濃度が、遺伝的変異と強く相関していることをつきとめました。

 地球が最も寒冷化した約2万年前の最終氷期極大期には北方の海の海面水温が現在よりかなり低く、これらの地域にアコヤガイは生息していませんでした。研究グループは、最終氷期が終わって水温が上昇し、ピークに達した6000年前ごろ黒潮に乗ってアコヤガイが北方の海に到達し、南西諸島などとは遺伝的に離れた個体群が確立されたとみています。

 研究グループは、将来の気候変動と水温上昇がアコヤガイの分布に影響する可能性について研究することにしています。


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