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2020年1月4日(土)

主張

世界のたたかい

尊厳、自由、地球の未来をかけ

 2019年は貧困と格差の拡大や大災害をもたらす気候変動を背景に、自らの尊厳と自由、未来をかけたたたかいが世界で広がりました。排外主義や極右の伸長の一方、変化をつくる希望の流れです。

街頭で、投票で

 画期的だったのは、気候「非常事態」を訴えCO2排出ゼロをめざす運動です。9月末には日本を含む185カ国で760万人がデモ・集会に参加し、03年のイラク戦争反対の規模を超えました。西欧・北欧の一連の選挙では、温暖化抑制の緊急強化を前面にした政党が躍進しました。12月には欧州連合(EU)の執行機関の欧州委員会が、50年までに温暖化ガス排出実質ゼロの実現を柱に、新たな気候変動対策を発表しました。

 「気候ではなくシステムを変えよ」が運動スローガンの一つです。「気候変動を止めるには、資本主義をやめることが必要」「今の経済・産業システムが気候変動をもたらした。私たちは所有、労働、資本の関係を根本的に再評価すべきだ」と書くメディアまで現れています(英紙「ガーディアン」)。

 19年は「強力な街頭抗議の年」でもありました。きっかけはさまざまですが、多くの国・地域で同時多発的に、若者をはじめ人々の大規模な抗議活動が起こり、政権や選挙に影響を与えました。

 中東のレバノンでは無料通話アプリへの課税に、イラクでは政治家らの腐敗に反対し、それぞれ宗教の違いを超え広範な若者らが立ち上がり、ともに10月以降、首相が辞任しました。北アフリカのアルジェリアとスーダンでは20年、30年と続いた大統領が退陣を余儀なくされました。民主的改革を求めた11年の一連の民衆行動「アラブの春」再来とも言われます。

 南米では経済の優等生と評されてきたチリで10月、地下鉄料金値上げを契機に保守政権への抗議が全国に拡大しました。値上げは撤回されましたが、市民らは、大きな格差の根底に民営化を促すピノチェト軍事独裁政権時にできた現憲法があるとして廃棄を要求し、4月に新憲法の必要性と制定方法を問う国民投票が実施されます。

 欧州ではフランスで年金改悪反対の国民的なたたかいが年をまたぎました。フィンランドとデンマークでは、昨年の総選挙で反緊縮の新政権が誕生し、前者では「左翼同盟」からも入閣しました。ポルトガルでは反緊縮の政権側が勝利して2期目に前進し、スペインでは社会労働党と左派ポデモスを中心に連立協議が進んでいます。

 香港では自由と民主主義を求め大規模なデモが続き、11月の区議選で「民主派」が圧勝しました。

 各地の運動では若者とともに女性が大きな力です。18年11月の米中間選挙では、性暴力・女性差別に抗議の声をあげた「#MeToo」運動に後押しされ、過去最多の女性下院議員が誕生しました。

「世界が震撼する年」

 「本当に世界が震撼(しんかん)する年は2020年かもしれない」。国際的な経済紙「フィナンシャル・タイムス」が昨年末かかげた論評です。11月の米大統領選など一連の大型選挙が予定され、日本でも社会を根底から壊す安倍政権を倒し、総選挙で野党連合政権の実現をめざす取り組みが進んでいます。

 世界のたたかいと連帯した運動と日本共産党が、大きな飛躍を求められる年です。


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