2019年12月18日(水)
“チューインガム”が記憶
5700年前の女性の姿
国際研究グループ
北欧デンマークで見つかった古代の“チューインガム”を調べた結果、5700年前の女性の姿が明らかになったと、同国などの国際研究グループが17日付の科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』に発表しました。チューインガムに女性のゲノム(全遺伝情報)が残っていたためで、骨など人体の組織以外からヒトゲノムを抽出して解析したのは初めてだといいます。
研究グループは、バルト海に浮かぶデンマークのロラン島の南部に計画されているトンネル工事に先立って行われた5700年前の遺跡の調査でシラカバの樹脂でつくられたチューインガムを発見しました。石器などを木の柄に取り付けるための接着剤として使われたとみられていますが、人間の歯の痕が残っており、硬くなった樹脂を軟らかくするのに歯でかんだと推定されています。
ゲノムの抽出を試みた結果、抽出に成功。解析した結果、チューインガムをかんだのは女性で、浅黒い肌と黒い髪、青い目をしていたと推定されました。また、女性がスカンジナビア半島の狩猟採集民よりも、ヨーロッパ中央部の狩猟採集民と遺伝的に密接に関連していたこともわかりました。
チューインガムからは、植物や動物由来のDNAや、口腔内にいる微生物のDNAも検出され、遺跡に住んでいた人々が何を食べていたのか、どんな病気に悩まされていたかを知る手がかりになるといいます。