2019年12月18日(水)
主張
9条改憲への執念
首相の憲法破壊は許されない
臨時国会の閉幕以降、安倍晋三首相が憲法9条に自衛隊を書き込む改憲に固執する発言を重ねています。先週末には時事通信主催の内外情勢調査会で講演し、次の通常国会での改憲議論の進展を要求しました。自民党が各地で開いている改憲集会向けに作成したメッセージ動画にも登場し、9条改憲を実行するために「国民的議論を」などと訴えています。首相が改憲の旗を振り続けるのは憲法99条の憲法尊重擁護義務に反し、国会での改憲議論を迫るのは「三権分立」の原則を踏みにじるものです。憲法と立憲主義を壊す安倍改憲は許されません。
際立つ憲法の私物化
安倍首相は13日の内外情勢調査会の講演で国会の憲法審査会で憲法改定の「中身の議論が行われるのを期待したい」と強調しました。臨時国会閉幕直後の9日の記者会見で2021年9月までの自民党総裁任期中の改憲を「必ずや私の手で成し遂げたい」と強い執念を示したことに続くものです。
安倍首相が改憲発言を繰り返すのは、17年5月の「憲法記念日」に9条などを改定した憲法を20年に施行すると言い出したものの、その改憲スケジュールが思惑通りには進んでいないからです。
今年7月の参院選では街頭演説で「改憲」を訴えて回りましたが、国民は自民・公明などの改憲勢力に、改憲案の発議に必要な3分の2以上の議席を与えませんでした。先の臨時国会でも、憲法審査会での自民党改憲案の提示は、4国会連続でできませんでした。
週末に共同通信が行った世論調査では、安倍首相の下での「憲法改正」に「反対」が54・4%で、前回11月の調査より5・2ポイント増加しています(「東京」16日付)。「産経」とFNNの調査でも改憲に「賛成」が減り「反対」が増えています。首相が改憲を「私の手で成し遂げたい」と表明したことについても「評価しない」が50・9%に達しました(17日付)。
国民が望んでもいない改憲を強行するのは、憲法の私物化そのものです。しかし安倍首相は9条改憲の暴走をやめようとしません。
自民党が各地で開いている改憲集会向けメッセージ動画の中で首相は、「現行憲法も制定から70年余りが経過し、時代にそぐわない部分は改正を行っていくべき」「その最たるものが憲法第9条です」と決めつけて、「憲法にしっかり私たちの『自衛隊』を明記しよう」と得々と語っています。文字通り、「安倍改憲」の本丸は9条です。「全国津々浦々国民的議論を深めていきたい」と力説したのは、全国各地から改憲機運を盛り上げ、来年1月召集の通常国会での改憲議論に拍車をかける狙いからです。
首相は「(自民党の)地方組織や後援会をフル動員すれば、憲法改正への理解を得られる」とも発言(9日)しています。改憲にあくまで固執する安倍政権を、全国からの「憲法守れ」の世論と運動で包囲することが重要です。
国民と野党が力を合わせ
安倍首相が主張するように憲法9条に自衛隊を明記すれば、現行憲法の戦力不保持・交戦権否認の規定が空文化・死文化し、自衛隊が大手を振って、海外に出ていくことになります。
日本を再び「戦争する国」にする「安倍改憲」を阻止するため、野党と国民が力を合わせましょう。