2019年12月12日(木)
レッド・パージ救済勧告
東京弁護士会
元公務員の被害者7人
|
東京弁護士会(篠塚力会長)は10日、レッド・パージ被害者の人権救済申し立てについて、速やかに名誉回復や補償などを行うよう安倍首相に勧告(2日付)したと発表しました。川村百合副会長と人権擁護委員会の古本晴英弁護士が、東京都内で記者会見しました。
申し立てていたのは、労働基準監督署や郵便局、公立小学校、海上保安庁を解雇などによって職場を追われた田中光春さんら7人。田中さんを含め4人は、申し立て後に亡くなっています。
勧告では、7人に対する解雇などは共産党員らを排除する目的で行われたレッド・パージと認定。憲法に違反する特定の思想・信条を理由とする差別的取り扱いであり、思想良心の自由、法の下の平等などに違反する人権侵害だとして、生活の糧も失い多大な損害を被ったとしました。
「思想差別が繰り返されないようにするため、過去の人権侵害の責任を認め、救済していくことは極めて重要」と強調しています。
古本弁護士は、「職場における思想差別は、今でも多数ある。決して古い歴史ではなく、現代にも通じる重大な問題だ」と述べました。
レッド・パージは、憲法施行後の1949年から51年、GHQ(連合国軍総司令部)の示唆のもと政府・財界により、推定約4万人の労働者が「共産主義者」「同調者」として職場を追放された事件です。
日弁連や各弁護士会による勧告は17回目(計111人)になりました。安倍首相に対しては11回目。