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2019年12月10日(火)

司法にある性的偏見とは

ジェンダー法学会がシンポ

 ジェンダー法学会第17回学術大会(同学会主催)が7日から大阪大学豊中キャンパス(大阪府豊中市)で開かれ8日はシンポジウム「性被害と司法のジェンダーバイアス―刑事判決の分析から」が行われました。


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(写真)シンポジウムで語り合う(左から)小西、小宮、角田、斉藤、山本の各氏=8日、大阪府豊中市

 「司法を支配している男性側」による「ジェンダーバイアス」(性的偏見)の具体例として角田由紀子弁護士が性暴力事件の無罪判決を分析。(1)被害を加害者側の視点、体験で判断する(2)強制性交等罪の「暴行・脅迫」のレベルを上げるなど犯罪ができるだけ成立しないように「解釈」するなどの問題点を指摘しました。対策として「法学部などの教育でジェンダー主流化が追求されねばならない」と主張しました。

 性暴力被害者の心理鑑定にあたってきた武蔵野大学の小西聖子教授は、被害者は「最初に消極的に拒否するか、明確な抵抗を示せないかのどちらか程度」と言います。「性暴力被害にあうと分かると意識と関わりなく体がまったく動かなくなる。感情がなくなってしまう。こうしたネガティブな反応が司法専門家に誤解される」と話しました。

 東北学院大学の小宮友根准教授は、同バイアスについて、裁判所が性暴力事件で「被害者は抵抗できないこともある」と認識するようになっている一方、「無神経」なので拒絶の意志が分からなかったなど加害者を「過度に無能力」にして無罪とする実態を紹介しました。

 被害当事者らでつくる「Spring」代表理事の山本潤さんが、フラワーデモの広がりなど性暴力の根絶と刑法改正を求める市民の取り組みを報告しました。

 斉藤豊治甲南大学名誉教授(弁護士)は、現行刑法の「暴行・脅迫要件」を撤廃する法改正に関連し、「性的『同意』の内容、その有無の証明をどうするかが重要だ。大いに議論していくことが大事だ」と強調しました。


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