2019年12月10日(火)
日本共産党国会議員団総会
志位委員長のあいさつ
日本共産党の志位和夫委員長が臨時国会の閉会日となった9日の党国会議員団総会で行ったあいさつは次の通りです。
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会期延長要求を拒否し、逃げるように会期を閉じたことに強く抗議する
臨時国会の閉会にあたりまして、ごあいさつを申し上げます。
まず、安倍政権と自民党、公明党が、私たち野党の会期延長要求を拒否して、逃げるように国会の会期を閉じたことに対して、怒りを込めて抗議をしたいと思います。(「そうだ」の声、拍手)
「桜を見る会」疑惑にフタをし、「逃げ切り」をはかろうとしているわけでありますが、「逃げ切り」は絶対に許さない。閉会中の審査も含めて、疑惑の徹底追及を最後までやり抜く決意を、まず固め合いたいと思います。(「よし」の声、拍手)
臨時国会を通じて、野党共闘は画期的な前進をとげ、多くの成果をあげた
この国会の開会日の議員団総会で、私は、「野党連合政権に道を開く国会にしよう」と訴えました。この国会を通じて、野党共闘は画期的な前進をとげ、多くの成果をあげたといえると思います。
2大臣を辞任に追い込んだ共闘の力
国会冒頭でまず問題になったのは、経済産業大臣と法務大臣の公職選挙法違反問題でしたが、2大臣を事実上の引責辞任に追い込んだのは、世論の力とむすんだ野党共闘の力だったと思います。
大学入試への英語民間試験導入を延期に追い込む
大学入試への英語民間試験の導入を延期に追い込みました。国語と数学の記述式導入も延期の検討にまで、追い込んできています。これも、高校生、受験生、そして教員のみなさんなどのたたかいと一体になった野党共闘の重要な成果だと思います(拍手)。きれいさっぱり中止することを強く求めて、引き続きたたかいたいと思います。
憲法審査会での自民改憲案提示を4度阻む
安倍首相は国会冒頭の所信表明で、「憲法審査会を動かせ」と憲法9条改定に執念を燃やしました。しかし、自民党改憲案の憲法審査会への提示は、国民と野党の反対によって、今国会もできませんでした。(「そうだ」の声)
昨年の通常国会、臨時国会、今年の通常国会、臨時国会と、4国会連続で見送りに追い込んだことも、共闘の力でかちとった重要な成果であります。(拍手)
「桜」疑惑――真相の徹底究明で安倍内閣を総辞職に追い込もう
党国会議員団と「しんぶん赤旗」が果たした大きな役割
「桜を見る会」の疑惑が国政の一大問題となってきています。
この問題で日本共産党が果たしてきた役割は大きなものがあります。まず5月13日、宮本徹議員が安倍政権のもとでの参加者の急増について追及をしました。これが追及のスタートになりました。10月13日、「しんぶん赤旗」日曜版が、私物化疑惑のスクープを行いました。そして11月8日、田村智子議員の圧巻の追及であります。さらに大門実紀史議員が「ジャパンライフ」の問題で鋭い追及の追い打ちをかけました。
党議員団と「しんぶん赤旗」が一体となって、一大政治問題に押し上げた、大きな貢献をしてきたということがいえると思います。(拍手)
野党共闘による追及が首相を追い込む決定的な力に
同時に、ここまで追い詰めてきた力は、野党共闘の力だったと思います。田村さんの11月8日の質問は、当初は、マスコミは、びっくりするくらいほとんど無視する状況でありました。しかし、野党共闘でこれにとりくもうとただちに一致し、追及ののろしをあげた。追及チームをたちあげ、追及本部をつくり、一体となってとりくんできたことが、安倍首相を追い詰めていくうえで決定的な力となりました。野党共同の宣伝物もつくりましたけれども、これは初めての経験となりました。
二重三重に「詰み」の状態に追い込まれた安倍首相
安倍首相は、11月8日の田村質問で腰が抜けてしまって、田村質問を最後に一問一答の場から逃げ回り続けています。
しかし、将棋で言えば、二重三重に「詰み」の状態に追い込まれているのではないでしょうか。「桜を見る会」を私物化し後援会員を買収していたのではないかという疑惑、反社会的勢力や悪徳マルチ会社「ジャパンライフ」の会長の招待の問題、「前夜祭」をめぐる数々の疑惑、国会における虚偽答弁、招待者名簿のシュレッダーでの廃棄の問題などなど、疑惑は膨れあがる一方であります。
一問一答の場に出てくれば、たちまちのうちに立ち往生になるでしょう。どの問題をとっても安倍首相は「詰み」の状態ではないでしょうか。
今度ばかりは逃げきれない、逃がしてはならない
私は、今度ばかりは逃げきれない、また逃がしてはならないということを言いたいと思います。(「そうだ」の声)
この問題の疑惑の構図は、「森友」疑惑・「加計」疑惑とそっくりですが、違いもあります。3点ほど言いたい。
一つは、関係者がきわめて多数であって、数千人の関係者をとうてい隠しとおせるものではないということです。
二つは、「ジャパンライフ」の被害者をはじめ実害を被った被害者が、これも数千人規模でいるということであります。
三つは、安倍首相に直結する違法行為の疑惑が多数あるということです。政治資金規正法違反、公職選挙法違反、業務上横領罪・背任罪、公文書管理法違反、財政法違反など、さまざまな違法行為の可能性が、安倍首相に直結する形で指摘されていることはきわめて重大であります。
今度こそ、「逃げ切り」を許さず、真相の徹底究明を行い、安倍内閣を総辞職に追い込むまでがんばりぬこうではありませんか。(「よし」の声、拍手)
高知県知事選の大健闘――今後につながる大きな財産をつくった
共闘の前進という点では、11月に行われた高知県知事選挙は、特筆すべきたたかいとなりました。
日本共産党県委員の松本顕治さんを、野党統一候補として、みんなが応援して大健闘の結果を勝ち取りました。各党党首をはじめ、55人もの国会議員が高知に応援に駆け付けました。そして、選挙が終わった後、ともにたたかった国会議員が45人も参加して、「ご苦労さん会」が開かれ、健闘をたたえあいました。
今後につながる大きな財産をつくったたたかいとなったと思います。松本顕治さんの大奮闘をたたえるとともに、ご支援いただいたすべての方々に心からの感謝を申し上げたいと思います。(拍手)
野党連合政権構想を示すことの必要性が、多くの人々の共通の声に
そういうなかで、野党連合政権の展望はどうか。
野党各党との話し合いを、粘り強く進めていきたい
私たちは、この問題での協議の開始にむけた努力を進めてきました。れいわ新選組と党首会談を行い、野党連合政権の実現に向けて協力することで一致しました。社民党と党首会談を行い、政権交代の実現に向けて協力することで一致しました。
立憲民主党、国民民主党のみなさんとも、政権問題での前向きの合意をえるために、粘り強く努力をしていきます。
「4年前の政権構想には唐突感があったが、今回はない」という声が
私も参加した10月19日の神戸市での全国革新懇交流会で、総がかり行動実行委員会共同代表の福山真劫さんが、野党連合政権構想について、次のように発言されていたことがたいへん印象的でした。
「共産党の2015年の国民連合政府構想には、正直言って唐突感がありました。しかし、今回はありません。その条件は、確実にできつつあると思います」
たいへんに心強い思いで聞きました。野党共闘をここで、一段と力あるものにするためには、野党としての政権構想を示すことが必要だということは、多くの人々の共通の声となりつつあるのではないでしょうか。
政権構想の話し合いと、選挙協力の話し合いを、同時並行で前進させていきたい
党大会にむけた第一決議案――政治任務についてのべた決議案で、安倍政治からの転換を三つの方向でのべていますが、この三つの転換の方向も多くの方々から共感をもって迎えられているということもうれしいことであります。
総選挙に向けて、野党連合政権構想の話し合いと、選挙協力の話し合い――この二つの話し合いを同時並行で前進させ、安倍・自公政権にかわる新しい希望ある政治の姿を国民に示すよう、知恵と力を尽くそうではありませんか。(拍手)
消費税5%への減税――国民多数の声となり、野党共通の声となるよう力をつくす
共闘の発展とともに、「共産党ならではの論戦と活動」でもこの国会では重要なとりくみが展開されました。
大増税の強行は、日本経済に新たな深刻な危機をもたらしている
一つは、消費税の問題です。
わが党は、10%への増税の強行という事態をうけて、消費税廃止を目標としつつ、5%への緊急の減税を求める論戦を、衆参の本会議と予算委員会で展開しました。国会内で、消費税減税をめざす懇談会にもとりくみました。懇談会では切実な減税への願いが、各界・各層の方々からあふれるように語られました。
大増税の強行は、日本経済に新たな深刻な危機をもたらしています。
この間、10月のいろいろな経済指標が発表されました。景気動向指数は5・6ポイント低下、実質消費支出は5・1%減少――どちらも8%への増税直後の2014年4月を上回る落ち込みを示しました。8%増税以上に経済や景気にダメージを与えているのが10%増税なのであります。
景気を破壊する大増税をやっておいて、「景気対策」のために新たなバラマキとは
そういうなかで安倍政権は、事業規模で26兆円、財政支出で13兆円もの「経済対策」を決めました。中身も問題だらけですが、自分で景気を破壊する大増税をやっておいて、「景気対策」のために新たなバラマキをやる。これほどばかげた政治はないではありませんか。(「そうだ」の声)
13兆円ものお金を使うのだったら減税に使ったらいい。「景気対策」というなら、消費税5%への減税こそ最良の景気回復策であります。この立場が、国民多数の声となり、野党共通の声となるようにがんばろうではありませんか。(拍手)
安倍外交――三つの覇権主義への「ペコペコ外交」でいいのか
いま一つは、外交の問題です。
安倍外交はいま、無残な大破綻に陥っています。その特徴を一言でいいますと、あらゆる覇権主義に迎合し、屈服する、覇権主義従属外交であります。
歯止めなき対米従属外交はもう終わりにしよう
その最悪のものは、トランプ米大統領への異常な従属外交です。
トランプ大統領言いなりに米国製武器の爆買いをやる。日米貿易協定を強行し、日本農業を米国に売り渡す。国会にも諮らずに、中東沖への自衛隊派兵を強行しようとしています。そして、米軍への「思いやり予算」を大幅に増やせと言われ、言われっぱなしで反論もしない。こんな歯止めなき対米従属外交はもう終わりにしようではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
対ロシア外交――あらわになった覇権主義を批判せずにおべっかを使う
対ロシア外交はどうか。
日ロ領土交渉で、安倍首相は「2島決着」論を持ち出し、それをも拒否され、大破綻に陥っています。
いま、ロシアのプーチン政権は覇権主義をあらわにしています。クリミア半島を併合し、千島列島の問題では「第2次世界大戦の成果だ」と、覇権主義を居直っている。
覇権主義をあらわにしたプーチン大統領に対して、それを批判せずして、「ウラジミール」と、いくらおべっかを言ったところで、問題が解決するわけがありません。対ロ外交でも無残な失敗をさらしていることは、もはや明らかであります。
対中国外交――習主席の「国賓」招待を最優先させ、言うべきことを言わない
対中国外交はどうか。
一言で言いまして、いま安倍政権の姿勢は、習近平主席の来春の「国賓」での招待を最優先にして、相手のご機嫌を損ねるようなことは言わない。言うべきことを言わない。これにつきると思います。
尖閣諸島周辺で中国公船による領海侵犯などが繰り返されておりますが、抗議一つしません。香港では重大な人権侵害が行われています。わが党は弾圧の即時中止を求める声明を発表し、中国政府に伝えました。しかし、日本政府は、抗議一つしようとしません。こんな情けない外交でいいのか(「そうだ」の声)。これが対中国との関係でも問われているのではないでしょうか。
日本外交を、覇権主義従属外交から、自主独立外交へと転換させよう
まとめて言いますと、トランプ大統領、プーチン大統領、習近平主席――三つの覇権主義への「ペコペコ外交」でいいのか(「そうだ」の声)。これが問われていると思います。
来年1月の党大会に提案している綱領一部改定案は、「どんな国であれ覇権主義的な干渉、戦争、抑圧、支配を許さない」ことを、国際活動の大きな柱にすえました。
この立場にたって、日本外交を、覇権主義従属外交から自主独立外交へと転換させるためにがんばろうではありませんか。(「よし」の声、拍手)
「党勢拡大大運動」を必ず成功させ、歴史的な党大会の大成功を
歴史的な党大会まであと1カ月です。
臨時国会での成果を確信にして、「党勢拡大大運動」を必ず成功させ、強く大きな党をつくり、党大会の成功をかちとるためにともにがんばりましょう。
綱領一部改定案が示す21世紀の世界の流れの大局をしっかりと捉えて、野党連合政権の実現、日本共産党の新たな躍進のためにがんばろうではありませんか。
そのことを訴え、みなさんのこの国会での大奮闘に敬意を申し上げて、閉会のあいさつといたします。お疲れさまでした。がんばりましょう。(拍手)