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2019年12月2日(月)

主張

COP25の開催

気候危機を打開する正念場

 国連の気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)が2~13日、スペインのマドリードで開催されます。地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」が2020年から実施段階に入るのを前に、世界が有効な対策をどう加速させるのか―。各国の真剣な取り組みが求められます。

「破壊的な影響」と警告

 「気候に正義を」「地球を守ろう」。COP25開幕を目前にした11月29日、若者たちが呼びかけた「グローバル気候マーチ」は世界の158カ国の2400都市で、日本では25都府県で取り組まれました。気候変動の影響を受けるのは自分たちだ、という若い世代の訴えは切実です。

 国連環境計画(UNEP)が同26日に公表した報告書は、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出が今のペースのままで続けば、今世紀末までの世界の平均気温は産業革命前より3・4~3・9度上昇することなどを指摘し、「破壊的な影響をもたらす」と警告しました。

 パリ協定は気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えることをめざします。しかし、現状では、各国が国連に提出している排出削減目標をたとえ達成しても、気温上昇を3・2度に抑えることにしかならないと指摘します。

 1・5度でも、海面上昇、豪雨や熱波、水不足、山林火災などのリスクが世界的に高まるとされていますが、約3度上昇となれば、危機的な事態を引き起こしかねません。

 UNEPの報告書は1・5度に抑えるには、現在毎年1・5%程度増えている排出量を、年7・6%削減することが必要であると強く求めています。

 パリ協定が打ち出している21世紀後半に人間活動による温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることに向けて、取り組みのスピードを上げることが必要です。

 国連のグテレス事務総長は9月23日に開かれた「気候行動サミット」で、30年までに温室効果ガスを45%削減し、50年には実質ゼロにするために、「目標引き上げにつながる行動」を各国に呼びかけました。そして、65カ国が50年までに実質ゼロを誓い、70カ国が20年までに自国の行動を強化する予定であることなどを発表しました。

 COP25はパリ協定実施の具体化などの議論とあわせ、気候行動サミットの成果を引き継ぎ、各国が削減目標を積み上げる機会にしていくことが不可欠です。

 トランプ米大統領は11月4日にパリ協定離脱を正式に通告しました。しかし、米国では「われわれはパリ協定にとどまる」との運動が大きく広がり、1200以上の企業、都市、州、大学などが即座にパリ協定支持を表明しています。COP25では世界の都市や自治体、企業などの「非国家アクター」の役割も注目されます。

厳しく問われる安倍政権

 30年度のCO2削減目標が13年比でわずか26%しかない安倍晋三政権の姿勢は重大です。CO2の排出量の多い石炭火力発電の新設をすすめていることは内外で厳しい批判があがっています。

 日本政府は、「脱石炭」・再生可能エネルギーの拡大という世界の流れに背を向ける姿勢をあらためて、地球の未来に責任を果たすべきです。


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