2019年11月30日(土)
鼓動
球数制限 投手の健康 守るルールを
日本高野連は、理事会で投手の障害予防に関わる有識者会議の答申を承認し、来年度からすべての公式戦で投手1人あたり「1週間500球」の球数制限を導入します。
八田会長は「高野連が第一歩を踏み出したことにより、小・中学生の野球にも波及する。(球数制限に)踏み切った意義は大きい」と話しました。
確かに日本高野連が、球数制限を導入した意味は小さくありません。大会を勝ち上がるには、1人の投手では不安も出てくるため、複数投手の育成などが不可欠になるなど、指導者の意識を変えるきっかけになるからです。今月に行われた秋の全国大会に当たる明治神宮野球大会では、出場校の監督から「(導入が見込まれる)球数制限を意識している」との声が聞かれ、実際に複数投手の育成を意識した起用も見られました。
しかし、「1週間500球」は、投手の体を守る上では、問題が残ると言わざるを得ません。
先の明治神宮大会でみると、勝ち上がったチームで3連投し、3日間で220球以上を投げた投手や、1試合で150球以上投げた投手もいました。
これは「1週間500球」の枠内に収まるものの、米大リーグが育成年代のために設けた基準からみると故障を誘発しかねない投球数であり連投です。
米国の基準では、投手の年齢ごとに1試合あたりの投球数とその数に応じた休息期間を決めています。これをモデルにし、せめて1試合あたりの投球数を定めることが必要だったのではなかったか。
高野連は、この球数制限を試用期間として3年間運用し、データを収集した上で内容を再検討するとしています。世界のあり方にも目を向け、選手の健康を守ることを第一に考えたルールが必要です。
(山崎賢太)