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2019年11月16日(土)

ハンセン病家族補償法など成立 見守る傍聴席

拍手の中 決意新た

差別根絶「終わりじゃない」

 国の誤ったハンセン病隔離政策によって、元患者(回復者)の家族というだけで深刻な差別にさらされるなどの被害を受けた人たちに、国が被害者に補償金を支給する新法などが全会一致で可決、成立した15日の参院本会議。国に賠償を命じる判決を勝ち取った「ハンセン病家族訴訟」の原告3人を含む17人が傍聴席から採決を見守りました。


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(写真)ハンセン病元患者家族への補償法案の採決を見守る関係者=15日、参院本会議

 「よって両案は全会一致をもって可決されました」。補償法と、被害者の名誉回復を図る改正ハンセン病問題基本法の成立を議長が宣言すると、議場にわき起こる拍手の中、微笑を浮かべる原告たちの姿がありました。

 弁護団によると、原告たちは「法律ができる場に立ち会って胸が熱くなった」「3年以上前に裁判を起こしてからのことがずっと頭の中でめぐっていた。多くのみなさんのご支援があってここまで来ることができたので感謝したい」と語ったといいます。

 一方、「法律ができたことは大変うれしいけれど、今後のことが大事」との訴えも。長く強制隔離を続け、国民の中に偏見、差別を植えつけた国策が起こした問題です。「(差別を取り除くには)それ以上の国の取り組みが必要だ。法律ができておしまいではなく、国はその取り組みを続けてほしい」との声があがりました。

 家族訴訟弁護団は、同日発表した声明で「ハンセン病に関する偏見差別は、国の長年にわたる啓発活動にもかかわらず、なお、私たちの社会に深刻な形で根付いています」と指摘。補償法の前文が、元患者、家族らへの偏見と差別を「国民と共に根絶する決意を新たにする」と述べているとして、「国は総力を挙げて、これまでの啓発活動の見直しを行い、偏見差別の根絶に向けて、最大限の努力を行うべき」だと求めています。

 義理の叔父が国立ハンセン病療養所栗生楽泉園(くりうらくせんえん、群馬県)に入所していたと話す同県館林市の男性(63)は「ハンセン病患者が収容されたあとの家族も大変な差別を受け重荷を負ってきたと思う。まずは一区切りついたのではと思う」と話しました。

 「判決で棄却されたり、裁判中に亡くなったりした原告も等しく補償が実現したことは評価しますが、もろ手を挙げて喜ぶわけにはいかない」。「らい予防法違憲国賠訴訟」の原告の一人として、家族訴訟の支援を続けてきたハンセン病訴訟全国原告団協議会の竪山勲事務局長も話します。「最大180万円という補償額は、家族のみなさんが受けた苦しみに本当に報いるものなのか」と強調。国がハンセン病差別のない社会を実現してこそ被害に見合うだけの最終解決になると話しました。


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