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2019年11月5日(火)

南シナ海行動規範議論

首脳会議 ASEAN「実効性を」

中国「期限通りに」提案

 【バンコク=井上歩】東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国の首脳会議が3日、バンコク近郊で開かれました。中国の李克強首相は、南シナ海行動規範(COC)の交渉について、昨年提案した2021年内の妥結に向け「スケジュールに沿って」協議を進めるよう提案。ASEAN諸国首脳はこれに対し、COCの実効性を確保すべきとの考えを強調しました。


 中国側の発表によると、李氏はCOCの交渉草案の第1次検討が終了し第2次が始まったと交渉進展を強調。第2次検討も20年内に終え、COC作成で「南シナ海を平和、友好、協力の海にする」と述べました。

 シンガポール紙によると、同国のリー・シェンロン首相は中国の提案を「歓迎」しつつ、「正しい結果を得ること、実効的なCOCを得ることがより重要だ」と指摘。交渉は難しい問題を扱う段階に進むとも指摘し、「シンガポールは国際法に従ったCOC作成を目指す」と表明しました。

 これまで「中国寄り」と批判されることもあったフィリピンのドゥテルテ大統領は、同国の発表によると今回、南シナ海での軍事化や準軍事活動が関係諸国の信頼を損ない、緊張を高めてきたと指摘。海洋の安定をさらに損ねる行動をやめるべきだと発言し、「国際法に従い、各国の行動を導く文字通りの規範、実効的なCOC」を早期に妥結するよう求めました。

 ベトナムのグエン・スアン・フック首相は中国公船が3カ月以上ベトナム権利水域に侵入した事件を踏まえ、「国際法に反する行動を繰り返させてはならない」と指摘。国連海洋法条約と国際法の順守を促進する国際的取り組みを強化し、「国際法に合致し国際社会に支持される実効的なCOC」を妥結するよう強調しました。

 沿岸での中国海警船の増大に懸念を強めるマレーシアのマハティール首相は、「緊張を緩和するため南シナ海への軍艦派遣を抑制することが重要だ」と指摘しました。

 同会議の議長声明は、草案文書の第2次検討開始や中国提案の「(18年を起点にした)3年の時間枠内か、より早期の妥結への熱意」を歓迎。同時に「実質のある実効的なCOC」を目指すことを盛り込みました。


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