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2019年10月30日(水)

主張

消費税増税1カ月

5%に戻す減税は極めて切実

 安倍晋三政権が消費税の税率の10%への引き上げを強行してから、間もなく1カ月です。増税による負担増から消費を減らした世帯もあり、閉店や廃業する中小商店も相次いでいます。世界経済も日本経済も不況の色が一段と濃くなっています。このまま10%増税を続ければ、暮らしも経済も破綻します。消費税を緊急に5%にまで減税するとともに、もともと低所得者ほど負担が重い逆進的な消費税の廃止を目指す世論と運動を盛り上げることが重要です。

出費切り詰める庶民

 増税1カ月を前に、「日経」がテレビ東京と行った世論調査(同紙28日付)では、消費税増税によって家計支出を「減らした」が21%、とくに家計への影響に敏感な女性では24%となっています。庶民の財布のヒモがいっそう固くなったのは明らかです。中小商店などの売り上げの減少も深刻になっています。町の商店街では、廃業したり閉店したりする中小商店も目立っています。

 安倍政権は複数税率の導入やキャッシュレス決済のポイント還元、プレミアム付き商品券の発行などで消費の落ち込みを緩和できるといいました。しかし、買う場所や買い方などによって、税率が5通りにもなる制度は、混乱を招いているだけです。ポイント還元制度に参加する中小店舗は3割ほどです。自治体が発行する2万円で2・5万円分の買い物ができるプレミアム付き商品券の発行も進んでいません。共同通信の調査では、対象者のうち購入を申請した人は3割程度です(「東京」28日付)。安倍政権の増税「対策」への疑念は膨らむばかりです。

 共同通信の世論調査では、消費税増税後の日本経済の先行きに「不安」「ある程度不安」を感じているという回答が合わせて7割近くです(「東京」同日付)。18日発表された政府の公式な景気判断である10月の「月例経済報告」でも「景気は輸出を中心に弱さが長引いている」と、9月の「弱さが続いている」との表現から下方修正されました。基調判断の下方修正は今年5月以来5カ月ぶりです。安倍政権の増税強行の判断が間違っていたことを、浮き彫りにしています。

 安倍首相は臨時国会で増税という大失政を追及されても、姿勢を改めようとしません。しかも重大なのは、首相は「今後10年、追加増税は必要ない」といいますが、財務省や自民党など政権の内部や財界からは、「10%後」の「段階的」な消費税増税の声が出始めていることです。経済同友会の桜田謙悟代表幹事は、「2024年には14%になっているのが望ましい」と公言しました。毎年少しずつ引き上げていくという思惑です。

経済財政運営の岐路

 消費税を10%に引き上げた誤りがいよいよ明らかになる中で、消費税に頼る経済財政運営を続けるのか、消費税に頼らない財政運営に転換するか、大きな岐路を迎えています。安倍政権が14年4月に8%に増税した後、今も続く消費や経済の長期低迷を打開するには、消費税の税率を緊急に5%に減税することが不可欠です。財源は大企業や大資産家への適切な課税や、無駄な経費削減などで十分可能です。いまこそ消費税の減税・廃止による日本経済再生に向けて、力を合わせましょう。


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