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2019年10月29日(火)

「慰安婦」問題描く「主戦場」上映中止に抗議

しんゆり映画祭 監督・製作会社が声明

川崎

 映画監督の白石和彌氏、井上淳一氏、映画製作会社若松プロダクションは28日、第25回KAWASAKIしんゆり映画祭でのドキュメンタリー映画「主戦場」上映中止に抗議し、同プロダクション製作の2作品の映画祭での上映を取り下げる声明を発表しました。

 「しんゆり映画祭」(27日開幕)は、NPO法人「KAWASAKIアーツ」が主催・運営するもので、川崎市や同市教委などが共催。運営は市民ボランティアが担っています。

 「主戦場」(ミキ・デザキ監督)は、旧日本軍の「慰安婦」問題を描き、元「慰安婦」の主張を肯定する側と否定する側の30人近くのインタビューをまとめた映画です。出演者の一部が「『学術研究のため』と説明されたのに、商業映画として公開され、著作権や肖像権を侵害された」と事実をねじ曲げ、上映禁止を求めて6月に提訴しています。

 同映画祭は提訴の状況を踏まえた上で映画祭での上映を決めていました。しかし、共催の川崎市からの懸念を受け、「映画館での妨害・いやがらせなど迷惑行為への対応」が、市民ボランティアでは「限界があること」を理由に上映を見送ることを決めていました。

 これに対し抗議声明は、「主戦場」は公開以降の半年間、問題なく上映されてきたことを指摘。上映中止は「過剰な忖度(そんたく)」で、「『表現の自由』を殺す行為」に他ならないと批判。「あいちトリエンナーレ2019」の「表現の不自由展・その後」中止の流れにあるもので、これを許せば自主規制や「事前検閲により、表現の自由がさらに奪われ」、多様な映画上映が政治的という理由で公共施設から排除され、政府の意向に沿った作品しか上映できなくなりかねないと抗議しています。


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